面白い問いですね。読んでいて、実は整合性は「ある」と思います。ただし、接続点を意識的に作る必要がある。整理してみます。
どこで「ズレ」を感じているか、まず確認
メモのOCD記述は本質的に予測符号化フレームで書かれています。
予測=不潔、観察=不潔 → 誤差ゼロ → 世界モデル更新されない
これはMAD理論のA細胞(定常・反復)とは別の言語で書かれている。だから「繋がらない感じ」がする。
接続の鍵:A細胞の「定常性」を予測符号化で再記述する
MAD理論のA細胞の特徴は「同一入力に常に一定の反応」でした。これを予測符号化に翻訳するとこうなります。
A細胞優位の状態 = 事前分布(prior)の精度が異常に高く、更新されない
つまり:
- 「不潔がある」という事前予測の確信度が極端に高い
- だから実際の感覚入力(手を洗った後の清潔感)が来ても、予測誤差として登録されない
- 世界モデルが更新されない ← これがメモの記述
これはMAD資料のp.9にも一行だけ書いてありましたね。「A=事前分布精度が高い」と。メモはその一行をずっと膨らませている、という関係です。
OCDにおける「Aの暴走」をMAD理論に戻す
メモには「ACが再度傷つかないように、Aはどんな微細な不潔も見逃さない」とありました。
これをMAD理論の枠組みで言い換えると:
ACへのトラウマ的傷つき体験 → M・Aが総動員 → A細胞が過活動 → しかしA細胞は「定常」なので、疲弊してもゼロにはならず、微細な閾値設定が固定化される
M細胞は「有限のエネルギーが枯渇して休止」しますが、A細胞は疲弊しても「定常に戻る」のが特徴です。これがOCDの持続性・慢性性の説明になる。うつ病はM→A→D(疲弊)という経路ですが、OCDはAが崩壊しきらずに固定化されたままの状態、とも言えます。
ERPとMAD理論の接続
メモの「Aが緊急警報を出さないよう羽交い絞めにする=ERP」という記述も、MAD的に言えば:
AがM的な賦活(警報→儀式)を経由させず、A自身の閾値設定を組み換える介入
ただし、MAD理論から見るとERPの40%無効例は「AにACトラウマが絡んでいる場合、A単独へのアプローチでは追放者パーツへ届かない」と説明できます。ここはIFSとの接続点でもあります。
簡略な接続図
ACの傷つき
↓
A細胞が「微細閾値」で固定(事前分布精度の異常な高さ)
↓
予測=不潔・観察=不潔 → 誤差なし → 更新されない(メモの記述)
↓
M・A過活動 → 中和儀式(M的賦活)
↓
MADの時間経過でMが疲弊 → うつ相でOCDが増悪(de Filippis 2024)
整合しないように見えたのは、メモが「なぜ更新されないか」の機能的記述で止まっていて、MAD理論が「その背後の細胞動態」を語っているからだと思います。階層が違う記述を並べていたので、ズレに見えた、というのが実態ではないでしょうか。
