CT55 うつ病の原因について

大うつ病性障害(MDD)の病因に関する仮説をまとめた図です。中心には「MDD病態形成」とあり、それを囲むように6つの主要な仮説が示されています。

  1. I. HPA軸機能不全仮説: 視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の機能不全により、グルココルチコイド(GCs)の高レベル、甲状腺ホルモン(T3、T4)の低下、エストロゲン(E2)の低下が起こるとされています。
  2. II. モノアミン仮説: セロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)、ドーパミン(DA)といったモノアミンの機能的欠乏がMDDの病態に関与すると考えられています。
  3. III. 炎症性仮説: 活性酸素種(ROS)の増加や、IL-1β、TNF-α、IL-6といった炎症性サイトカインの増加、NLRP3インフラマソームの活性化などがMDDに関与するとされています。
  4. IV. 遺伝的およびエピジェネティックな異常仮説: PCLO、DRD2、GRIK5、GRM5、CACNA1E、CACNA2D1、DNMTS、SST、FADSといった遺伝子やエピジェネティックな異常がMDDのリスクを高めると考えられています。
  5. V. 構造的および機能的な脳のリモデリング仮説: 前頭前野(PFC)、扁桃体、海馬におけるグリア細胞密度の低下がMDDと関連しているとされています。
  6. VI. 社会心理学的仮説: ストレス、心的外傷となる出来事などがMDDの発症に関与すると考えられています。

図の中央には、悲しそうな表情の女性が描かれており、周囲には雲や雨、もやもやした感情を表すようなイラストが配置されています。これは、MDDの患者が抱える苦悩を表していると考えられます。

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