不安定型愛着 愛着のタイプ

安全型愛着(Secure Attachment)
安全型愛着は、母親(またはその他の愛着対象)が乳児の信号に敏感に反応することで最もよく発達します。

  • 親が一貫して応答的・受容的であると、
  • 乳児はその親を「安全基地(secure base)」として信頼し、
  • 安心して周囲の環境を探索できるようになります。

このように愛着対象が安心できる存在であると、

  • 乳児は「自律的な心の状態(autonomous state of mind)」を発達させ、
  • 成長後も安定した対人関係を築きやすくなります。

回避型愛着(Avoidant Attachment)
一方、回避型愛着を持つ子どもは、

  • 親との距離を保ったり、
  • 親の再会を無視したりする傾向が観察されています。

これは、親が拒絶的・冷淡な対応をするため、

  • 乳児が親への依存を控え、自己完結的な行動を取ろうとする適応戦略だと考えられています。

回避型の乳児は、

  • 愛着対象からの拒絶や無関心により、
  • 愛着行動を抑制し、情緒的な投資を避けるようになります。

成人後には、過去の痛みを否認するような「無関心型(dismissing)」の心的態度が見られることが多いです。


両価型/抵抗型愛着(Ambivalent/Resistant Attachment)
このタイプの子どもは、

  • 親との再会時に一貫性のない(矛盾した)行動を見せます。
    たとえば:
    • 親に近づこうとするが同時に怒って突き放す
    • 強くしがみつきながらも泣き叫ぶ

両価型の愛着は、

  • 親の応答性が一貫していない場合(あるときは応じるが、あるときは無視するなど)に発達します。
    このため、子どもは情緒的に不安定になりやすく、
  • 親を求めながらも信頼しきれないというジレンマを抱えることになります。

無秩序型愛着(Disorganized Attachment)
最も深刻な愛着スタイルで、

  • 子どもが愛着対象(親など)に対して、恐怖と欲求を同時に抱いている状態です。

無秩序型は、特に虐待的・暴力的な養育環境でよく見られ、

  • 分離不安や不安定な情動制御
  • 攻撃行動や解離症状(dissociation)
  • 抑うつ、不安、方向転換された攻撃行動
    などにつながるリスクが高まります。

無秩序型の子どもは、

  • しばしば「未解決の心的状態(unresolved or disorganized state of mind)」を示し、
  • 愛着関係を語る際に話が飛んだり、記憶が途切れたりすることもあります。

不安定な愛着の影響(Impact of Insecure Attachment)
不安定型愛着を持つ子どもは、

  • 他者の意図や感情を読む力(心の理論、mentalizing ability)に問題を抱えやすいことが示されています。

特に、愛着が不安定な場合には、

  • 心を読む能力(mentalization) の遅延や歪みが見られ、
  • 他者の思考や感情を正しく推測することが難しくなる傾向があります。

これが進むと、

  • 幻想的思考や、
  • 被害妄想(paranoia)
    のような精神病理的傾向に発展することもあるのです。

文中の斜体部分(まとめ)

  • ポイント1
    “Secure attachment develops most easily if the mother…”
    → 母親が乳児の信号に敏感に反応すると、安全型愛着が発達しやすい。
  • ポイント2
    “In strange situation scenarios it has been observed…”
    → ストレンジ・シチュエーション実験では、回避型愛着児が母親を無視する行動が観察される。
  • ポイント3
    “Unstable internal working models — as a profound impact…”
    → 不安定な内的作業モデルは、他者の思考や意図に対する理解力の発達に悪影響を及ぼす。

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