1.SSRIやSNRIの場合
シナプス部分のセロトニンが常時増加するとすれば、後シナプス部分のレセプターはダウンレギュレーションを起こして、少なくなってしまう。するとますます多くのセロトニンが必要になってしまう。この状態でSSRIを中止すると大変よくない。あるいは、人生のイベントが起こって、セロトニンが不足すると、大変つらいことになる。
2.ドパミン遮断薬の場合
後シナプス部分のドパミンレセプターはアップレギュレーションを起こして、レセプターが増えてしまい、少しのドパミンにも過剰に反応する状態となる。ここで薬剤が中断されると非常につらい。また、ライフイベントでドパミンが増えたりすると、過剰な反応が起こる。
3.ダウンレギュレーションもアップレギュレーションも防止する
つまり、ダウンレギュレーションもアップレギュレーションも防止しなければならない。
例えば、筋肉でいえば、伸ばしっぱなしでもいけないし、縮めっぱなしでもいけない。伸ばしたり縮めたりしないといけない。当然のことである。
眼球の瞳孔は開きっぱなしでもよくないし、閉じっぱなしでもよくない。適切に閉じたり開いたりするような環境が望ましい。
神経伝達物質も、過剰を維持してもよくないし、過少を維持してもよくないのである。適切な程度に変化が生じて、レセプターがそれに反応する程度に維持しないといけない。
まことに、当然のことである。
4.薬剤とライフイベント
薬剤の調整と、ライフイベントは、両輪である。神経伝達物質と、レセプターの様子を観察して、増えすぎないように、減りすぎないように調整し、なおかつ、リズム正しく、増えたり減ったりする状態を作る必要がある。
筋肉を伸ばしっぱなしでも縮めっぱなしでも役に立たないし、瞳孔も開きっぱなしでも閉じっぱなしでも役に立たない。神経細胞も同じである。
極端な状態を続けると生体が反応して、病状が複雑になる。