序文

序文

『Current Diagnosis & Treatment: Psychiatry(カレント精神医学 診断と治療)第4版』は、精神医学の臨床実践を支える最新の知識体系の進化を反映している。
本書全体には、人間の行動に影響を与え、臨床実践を方向づけるあらゆる領域──神経生物学、遺伝学、心理学、そして社会的要因──における最新の進歩が織り込まれている。
これらの新しい理解は、精神的・行動的困難を抱える人々にケアを提供するあらゆる医療専門職にとって有用な、実践的で簡潔な形に翻訳されている。

今日のメンタルヘルス専門職は、数年前には想定されていなかったような、行動に影響を与える多様な要因を理解しておく必要がある。
かつての生物学的・心理学的理論は、現代から見れば単純すぎるか恣意的に思える。
神経生物学・遺伝学・認知心理学・発達心理学、さらには社会的影響の理解の発展によって、私たちの精神疾患に対する理解は大きく、そして今もなお変化し続けている。

本書は、こうした進歩を薬物療法、身体療法、心理療法などの臨床実践に結びつけながら、現在の理解へと統合するものである。
同時に読者は、次世代の「新しい理解」を受け止める準備も整えることができる。
たとえば10年前、特定の精神病は一つの遺伝子の結果と考えられていた。
しかし現在では、何百もの遺伝子と他の遺伝的要素、そして個人の生育経験との相互作用によって生じることが分かっている。
この発見は、精神病の生物学的理解と治療の可能性の両方を変えた。

第I部では、現代精神医学の理論と実践を支える科学的知識の主要な流れを示し、精神科患者の評価技法を紹介する。
第II部では、成人における主要な精神疾患の診断・現象学・病理学と、そのエビデンスに基づく治療を扱う。
第III部では、同様の枠組みを児童・青年期の主要な精神疾患に適用する。
第IV部では、精神科医療における特殊な診断・治療の場面を取り上げる。

本書は実証的視点から執筆されており、精神病理学的症候群の境界が新しい知見の登場によって予期せず変化しうることを認めている。
やがて新たな知識の蓄積は、診断技法をさらに洗練し、発達・健康・社会に大きな影響を及ぼすこれらの疾患の治療をより改善する道を拓くであろう。

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