マルクス的視点から2026総選挙直後の日本を読む


1. 前提:マルクス的視点とは何か

マルクスの核心は、道徳批判でも陰謀論でもなく、
「社会の矛盾は、資本の運動法則から生じる」
という冷徹な構造分析です。

  • 個人の努力や善意では解決しない
  • 問題は「誰が悪いか」ではなく
  • 資本が自己増殖する過程で、何が必然的に生じるか

現代日本をこの視点で見ると、
新自由主義・少子化・インフレ・軍国主義・弱者切り捨て・医療費削減は
バラバラの政策失敗ではなく、同一の構造から派生した症状群
として現れます。


2. 新自由主義:資本の論理が国家を内側から占拠する

マルクス的に言えば、新自由主義とは
**「国家が資本の代理人として振る舞う段階」**です。

  • 規制緩和
  • 労働の非正規化
  • 社会保障の削減
  • 公共部門の市場化

これは「小さな政府」ではなく、
資本にとって都合の良い政府への再編です。

日本の場合:

  • 終身雇用・年功序列 → 労働力の固定化で資本の柔軟性を阻害
  • これを「硬直」と呼び、解体
  • 労働者は「人間」から「コスト」に変換される

結果、
賃金は抑制され、労働は不安定化し、生活は個人責任化されます。


3. 少子化:再生産コストを家庭に押しつけた結果

マルクスは「労働力の再生産」を重視しました。
労働者は働くだけでなく、

  • 食べる
  • 休む
  • 子どもを育てる

ことで次世代の労働力を生み出します。

日本ではこの再生産が、

  • 家庭任せ
  • 女性任せ
  • 無償労働任せ

にされ続けました。

新自由主義下では、

  • 子ども=将来の労働力
  • しかし育成コストは社会が負担しない

という構造的搾取が起きます。

その結果、

  • 子どもは「愛の対象」から「負債」になる
  • 出生は理性的に回避される

少子化は価値観の問題ではなく、
資本主義が再生産を破壊した帰結です。


4. インフレ:賃金を上げずに負担だけを分配する装置

マルクス的に見ると、インフレは中立的現象ではありません。

  • 資本は価格に転嫁できる
  • 労働者は賃金交渉が弱い

つまりインフレは、

実質賃金を静かに削る装置

として機能します。

日本では、

  • 物価上昇
  • 賃金停滞
  • 社会保障削減

が同時に進み、
労働者は二重三重に圧迫されます。

これは「政策の失敗」ではなく、
資本の利潤率を維持するための調整です。


5. 軍国主義:内部矛盾の外部化

マルクス主義では、軍拡は偶発的選択ではありません。

  • 国内で分配が行き詰まる
  • 階級矛盾が可視化する
  • 不満の矛先を外に向ける

このとき、

  • 安全保障
  • 国威
  • 危機

が強調されます。

軍需は、

  • 国家支出を正当化
  • 産業に利益を供給
  • 国民統合を演出

する資本主義的安全弁です。

日本でも、

  • 社会保障は「財源がない」
  • 防衛費は「必要だからある」

という非対称が生じています。


6. 弱者切り捨て:労働価値のない存在の排除

マルクス的には、資本主義は人間を

  • 労働力として有用か
  • 利潤を生むか

で評価します。

その結果、

  • 高齢者
  • 障害者
  • 慢性疾患
  • 貧困層

は「非生産的」とみなされます。

「自己責任」「自立支援」「選択の自由」という言葉は、
排除を道徳化するイデオロギーです。


7. 医療費削減:生命をコストに換算する地点

医療はマルクス的に見ると、

  • 労働力を回復・維持する部門

ですが、新自由主義下では、

  • 即時的利益を生まない
  • 高齢者に多く使われる

という理由で「非効率」とされます。

その結果、

  • 診療報酬削減
  • 予防より自己管理
  • 治療より選別

が進みます。

これは
生命の価値が市場価値に従属した瞬間です。


8. 総括:日本社会は「末期資本主義の安定期」にある

マルクス的に総括すれば、現代日本は、

  • 革命前夜ではない
  • しかし健全でもない

静かに消耗する段階にあります。

  • 反乱は起きない
  • だが再生産もできない
  • 不満は内面化され、医療化される

ここで重要なのは、

これは「国民の未熟さ」でも
「政治家の無能さ」でもなく
資本主義の成熟した姿である

という点です。


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