不機嫌ハラスメント


1. 不機嫌ハラスメントとは何か

端的に言えば、

不機嫌でいること自体を“圧力”として使う行為

です。

  • 怒鳴らない
  • 命令しない
  • 罵倒もしない

それでも周囲が委縮し、空気を読んで行動を変えてしまう。
これがポイント。


2. 典型的な振る舞い

よくあるパターンは:

  • ため息をつく
  • 無言になる
  • 返事が極端に短くなる
  • 物音を立てる
  • 目を合わせない
  • 露骨に機嫌が悪いまま仕事を進める

何も言っていないのに、周囲が萎縮する。


3. なぜ「ハラスメント」なのか

本人はよくこう言います。

「別に怒ってない」
「機嫌が悪いだけ」
「感情を抑えろと言うのか」

でも実際には、

  • 不機嫌が 行動制御の装置 になっている
  • 周囲が
    • 先回りする
    • 逆らわない
    • 気を遣う

感情を使った支配 が成立している。

だからハラスメント。


4. 心理的メカニズム

臨床的に見ると、いくつかの層があります。

① 情動調整の未熟さ

  • 不快感を言語化できない
  • 要求を交渉にできない
    → 感情そのものを出すしかない

② 受動攻撃(パッシブ・アグレッション)

  • 正面から怒らない
  • しかし不快は伝えたい
    不機嫌という武器

③ 学習された成功体験

  • 昔、不機嫌で
    → 周囲が折れた
    → 事態が好転した

→ 行動が強化される。


5. 日本社会との相性

ここが重要です。

  • 空気を読む文化
  • 和を乱さないことが美徳
  • 感情の明示的対立を避ける

不機嫌は非常にコスパのいい権力手段

特に、

  • 上司
  • ベテラン
  • 家族内の強者

が使うと、破壊力が大きい。


6. 被害者側に起きること

受ける側は、

  • 「私が悪いのかな」
  • 原因探索を始める
  • 勝手に修正する
  • 常に緊張状態

→ 慢性的な疲労
→ 自尊心の低下
→ 過剰適応

言葉の暴力より、後を引くことも多い。


7. どう対処するか(現実的なライン)

理想論は置いて、現実的な話をします。

① 不機嫌=あなたの責任ではない

まずここを内面化する。

機嫌は「その人の課題」

② 事実レベルに引き戻す

可能なら、

  • 「いまの件、作業としてどうしますか」
  • 「決まっていることを確認させてください」

感情に反応しない

③ 名前を与える(内心で)

「これは不機嫌ハラスメントだ」と
現象としてラベリングするだけで、かなり楽になる。

④ 距離を取る

改善を期待しすぎない。
変わらない人は、本当に変わらない。


8. これは「弱さ」なのか?

誤解されがちですが、

  • 不機嫌を武器にする人は
    → 強い人ではない

多くの場合、

  • 自分の欲求を
  • 言葉と交渉で扱えない

という 未熟さの表現 です。


9. ひとことで言うなら

不機嫌ハラスメントとは、

「何も言わずに、相手を動かそうとする感情の圧力」

そしてそれは、
気づいた瞬間に、少し効力を失います。


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