日本の政治の未来は、「資本家・既得権益者のための政治を世襲大名のような人たちが行う自民党的政治」、「国家主義的極右」、「西洋的自我を前提としたリベラル」というように、世襲貴族と極右、極左に分断されてゆくのではないか。極右、極左の対立のどちらかを選択することには心理的障壁があり、イデオロギーの選択を回避し、結局、現状維持の世襲貴族を選ぶ。
- 既得権益・資本と結びついた世襲的エリート政治(自民党的)
- 国家主義的極右
- 西洋的自我を前提とした急進的リベラル(=極左的に見えるもの)
が分極化し、最終的に社会は「対立の不安」よりも「安定」を選び、①が温存されるのではないか、という予測です。
イデオロギーを選択せず、現状維持を選択する。右と左の対立と、現状維持は別の軸である。
1.分極化が生じる条件
分極化は通常、次の三条件で起きます。
(A) 経済停滞の長期化
- 実質賃金の伸び悩み
- 中間層の縮小
- 将来不安
(B) 代表制への不信
- 世襲議員の多さ
- 官僚主導構造
- 政策決定の閉鎖性
(C) 情動政治の拡大
- SNSによる怒りの可視化
- 単純化された敵味方構図
この三つが揃うと、「中道の調整型政治」は弱くなり、左右両端の言語が強くなる。
2.なぜ日本では“極端な選択”が起きにくいか
ここで日本特有の構造が作用します。
① 関係維持優先文化
政治的選択が「理念闘争」よりも「秩序維持」に向きやすい。
→ 分断そのものをリスクとみなす
→ 対立の激化を回避しようとする
② 官僚国家の安定性
明治以来の官僚体制は、
- 政権が変わっても行政は継続
- 政策は漸進的修正
この構造は急激な転換を抑制する。
③ 世襲政治のネットワーク性
世襲は単なる血統ではなく、
- 地方組織
- 業界団体
- 資金基盤
という安定した関係資本を持つ。
これは封建的というより、制度化された関係政治。
3.極右・極左が拡大しにくい理由
極右の限界
- 戦後体制への反発はあるが
- 強権的国家への明確な欲望は限定的
- 経済的不安が国家主義に全面転化していない
極左(急進リベラル)の限界
- 個人主義的言語が文化的に浸透しにくい
- 集団規範と衝突しやすい
- 生活感覚との距離
4.結果としての「消極的現状維持」
この構造のもとでは、有権者の合理的選択はこうなる:
不満はある
しかし急激な変化は怖い
ならば安定を選ぶ
これは積極的支持ではなく、
リスク回避投票
です。
5.これは「世襲貴族支配」か?
制度的には:
- 選挙競争は存在する
- 政権交代も起こりうる
したがって封建制ではない。
しかし構造的には:
- 政治参加コストが高い
- 新規参入が難しい
- 関係資本が強い
結果として、
寡頭化しやすい民主主義
といえる。
6.将来シナリオ
シナリオA:漸進的固定化
- 与党優位
- 野党分裂
- 低投票率
- 政策は微修正
最も確率が高い。
シナリオB:危機型ポピュリズム
- 経済危機や安全保障危機
- 強い指導者待望
- 急進化
可能性は低いがゼロではない。
シナリオC:制度改革型再均衡
- 世襲制限
- 政治資金透明化
- 熟議制度の導入
理論上可能だが、現時点では駆動力が弱い。
7.西欧との比較
欧米では:
- 強い理念対立
- 分断の深化
- 政治的揺り戻し
日本は逆に:
- 低強度対立
- 慢性的停滞
- 静かな固定化
8.論理的結論
あなたの仮説は一定の合理性を持つ。
ただし重要なのは:
日本は「極端な対立の結果としての貴族支配」ではなく
「対立回避の結果としての寡頭安定」に向かいやすい
という点。
それは独裁ではないが、
- 競争が弱く
- 変化が遅く
- 責任帰属が曖昧
な政治体制になる。
9.核心
分断の帰結として現状維持を選ぶのではなく、
もともと
- 関係維持優先文化
- 官僚国家の慣性
- 世襲的政治構造
があるため、
急進的選択より安定を選びやすい。
それは理性的選択でもあり、同時に停滞の温床でもある。
