イデオロギーを選択せず、現状維持を選択する。「右と左の対立」と、「現状維持」は別の軸。右派と左派の間の中間のどのあたりかを選択するのではない。 現状維持という、別次元のものを選択している。 それが「現実的」だと選択している。 自衛隊、原発、軍事力、非核三原則、いずれも、理念とは別に、現状の風向き、既にある現実に従う。ただ、財政均衡と税制については、微妙な問題があり、マスコミの誘導に従う。
正三角形の底辺の左右に右派、左派が位置していて、それぞれ国家主義的、西欧自由主義的自我が前提にある。どちらも嫌悪されていて、正三角形の上の頂点にある、非イデオロギー的・地域の大名支持的・現状維持的選択になっている。
右か左かの選択(x軸)ではなく、安定か不安定かの選択(y軸)である。
このモデルは、一次元の「右―左」対立では説明できない、日本政治の2次元構造です。

一般に政治的には、
・リベラル、反リベラル。
・リスクの全体化、リスクの個人化
などの分類次元があります。
ここでは
・変化、現状維持の次元を考えてみます。
1.一次元モデルの限界
通常の政治理論では、政治空間は
- 国家主義(右)
- 個人主義的リベラル(左)
の軸で説明されます。
この発想は
Jean-Jacques Rousseau
的人民主権論や
John Stuart Mill
的自由主義の系譜に依拠しています。
しかしこのモデルでは、日本政治の実際の選択行動を十分説明できない。
なぜなら、有権者は
右と左の中間を選んでいるのではない
右と左の対立そのものから降りている
からです。
2.2次元モデル
比喩を整理すると、政治空間は2次元になります。
- x軸左.y軸下:西欧的自我を前提とするリベラル
- x軸右.y軸下:国家主義的右派
- y軸上:非イデオロギー的・現状維持的・関係維持型選択
このy軸上は「中道」ではありません。
中道とはx軸の右と左の中間点ですが、
この頂点は対立軸から離脱している。
3.なぜy軸上が選択されるのか
① 対立忌避文化
関係維持を優先する社会では、
- 強い理念闘争
- 原理的対立
- ゼロサム言語
は不安を生む。
よって、
対立を激化させない選択
が合理的になる。
② 生活実務優先
自衛隊、原発、軍事力、非核三原則――
これらは理念的には大問題ですが、
有権者はしばしば
- 「現実的にそうなっている」
- 「急に変えられない」
- 「専門家が決めればよい」
という態度を取る。
これは無関心ではなく、
実務合理性への委任
です。
③ 官僚国家の存在
日本では行政が強い。
政策の連続性は官僚機構が担保する。
結果として、
政治的理念より制度慣性が支配する
政治は方向転換より微調整になる。
④ 世襲政治の意味
世襲はイデオロギーではなく、
- 地域への顔の見える存在
- 安定的パトロン
- 関係の継承者
として機能する。
有権者は理念よりも、
関係の継続性
を評価する。
4.y軸上の性格
このy軸上は
- 非理念的
- 低強度政治
- 関係維持優先
- リスク回避的
である。
それは消極的選択だが、
合理的でもある。
5.なぜ財政・税制は揺れるのか
この指摘は重要です。
財政・税制は
- 直接生活に影響する
- 専門的で理解困難
- マスメディアの解説に依存しやすい
そのためここでは、
空気形成の影響が強くなる
自衛や安全保障のような象徴的問題より、
生活実感に直結するため動揺が起きやすい。
6.この構造は何か?
これは「x軸の左右の選択」ではありません。
中道は理念・イデオロギーの折衷ですが、
このy軸上は
反理念的政治
です。
思想よりも、
- 継続
- 安定
- 波風を立てない
を優先する。
7.理論的特徴
この体制は:
- 制度的には民主主義
- 運用的には寡頭安定型
- 情動的には低強度
- 対立処理能力は低い
いわば
ポスト・イデオロギー的関係民主主義
です。
8.危険性
この構造の弱点は:
- 大規模危機で急旋回する可能性
- 慣性による衰退
- 外圧への過剰適応
対立を回避してきたため、
対立が不可避になった瞬間に脆い。
9.核心的整理
このxy軸モデルは妥当です。
日本の政治選択は
- 右か左かの選択ではない
- 対立か安定かの選択である
そして多くの場合、
安定=現実=現状維持
が選ばれる。
それは未成熟だからではなく、
文化的合理性の帰結です。
