30年前、日本は確かに「世界のトップクラス」にいました。それゆえの「成功体験の呪縛」が、その後の転落を招いた最大の要因と言えます。
「護送船団方式」「構造転換の遅れ」「鎖国的な労働市場」を、佐藤家の物語に組み込んでみましょう。
「佐藤家の30年前の誤算:豪華客船の幻影と、動かなくなった脳」
1. 「護送船団方式」という家族の甘え
30年前、佐藤家は近所でも一番の金持ちでした。お父さんは「一族全員、一人の脱落者も出さない」と宣言しました(護送船団方式)。
- 家庭での実態:
優秀な長男も、働かない次男も、お父さんは全員に同じだけの小遣いを与え、同じペースで歩かせました。 - その結果:
競争が消え、誰も「新しい稼ぎ方」を工夫しなくなりました。ダメな親戚(非効率な企業)を助けるために、家族全員の体力を使い果たしてしまったのです。
2. 産業構造の転換ミス:古い地図で歩き続けた
お父さんの会社(日本の産業)は、かつて「そろばん(アナログ・製造業)」で世界一になりました。しかし、世の中は「スマートフォン(デジタル・IT)」の時代へ激変しました。
- 家庭での実態:
子供たちが「お父さん、これからはスマホの時代だよ」と言っても、お父さんは「うるさい、わしはそろばんで家を建てたんだ!」と怒鳴り、新しい道具(IT投資)を覚えることを拒否しました。 - その結果:
近所の家々が最新のITで効率よく稼ぐ中、佐藤家だけがいまだに手書きの帳簿をつけ、膨大な時間をかけてわずかな利益しか出せない「低生産性」の泥沼にはまりました。
3. 「新しい血」の拒絶:老いていく家族
佐藤家は家族の絆を重視するあまり、外部の人(移民・外国人労働者)を家に入れることを極端に嫌いました。
- 家庭での実態:
家の中はお年寄りばかりになり、掃除も料理も手が回らなくなっていますが、「外の人間を入れると家風が乱れる」と言って、助けを借りることを拒みました。 - その結果:
新しいアイデアも、若い活力も入ってこない「閉鎖的な老人ホーム」のような家になってしまいました。
精神医学的診断:なぜ30年前に気づかなかったのか?
これまでの例えを使って、当時の佐藤家の「脳の状態」を分析するとこうなります。
- 「成功体験」という強固な記憶(記憶の固定化):
過去の成功があまりに鮮烈だったため、脳が「今のやり方が唯一の正解だ」と思い込んでしまいました。これは神経可塑性(柔軟性)の喪失です。新しい環境に適応するための回路が「アミロイドβ(古い慣習)」によって塞がれてしまった状態です。 - 茹でガエル現象(微細なストレスへの鈍麻):
少しずつ給料が減り、少しずつ円の価値が落ちる……。この「じわじわくる悪化」は、脳のアラートシステムであるHPA軸(ストレス応答系)を作動させませんでした。
「まだ大丈夫」「来年には良くなる」という正常性バイアスが、強力な麻酔のように家族全員の判断力を奪っていたのです。 - セロトニン的安心の履き違え:
護送船団方式が生んだ「みんな一緒」という安心感は、本来なら挑戦するための土台になるべきでしたが、佐藤家では「何もしなくても守ってもらえる」というドーパミン(やる気)の枯渇を招きました。
結論
30年前の日本は、いわば「メタボリックシンドロームの予備軍」でした。数値はまだ正常でしたが、血管(産業構造)は詰まり始めていました。
しかし、本人は「自分は健康だ」と過信し、食事制限(規制緩和)も運動(構造改革)もしませんでした。
そして30年後、気づいた時には「重度の糖尿病(財政赤字)」と「脳梗塞(生産性の停滞)」を併発し、自力で立ち上がるのが難しい状態になってしまった……。
これが、「失われた30年」の佐藤家バージョンの実態と言えるのではないでしょうか。
出来のいい長男は海外に行ったきり、音信不通。働かない次男は今も働かない。
佐藤家の「失われた30年」を語る上で、隣の家に住む「強気な隣人・アメリカさん」の存在は欠かせません。
日米関係を、佐藤家がこの隣人に振り回され、次第に自律神経を失調してゆく物語として描いてみます。
「佐藤家と隣のアメリカさん:用心棒への依存と、奪われた台所権限」
1. 用心棒としての契約(安全保障)
戦後、佐藤家はボロボロになった際、隣のアメリカさんと「用心棒契約」を結びました。「何かあったら守ってやる代わりに、庭にアメリカさんの私物(基地)を置かせろ。あと、ガードマン代(思いやり予算)も払えよ」という契約です。
- 家庭での実態:
佐藤さんは自分で武器を持つことをやめ、アメリカさんに家の守りを丸投げしました。おかげで平和でしたが、アメリカさんの顔色を伺わないと、門から一歩も外に出られないという「慢性的な依存状態」に陥りました。
2. 「稼ぎすぎだ!」という難癖(プラザ合意・貿易摩擦)
30〜40年前、佐藤家が一生懸命働いて近所で一番の金持ちになったとき、アメリカさんは面白くありませんでした。「お前の家のクーポンの価値(円)が低すぎるから、俺の家の品物が売れないんだ。無理やり価値を上げろ!」と脅しました(プラザ合意)。
- その結果:
佐藤家は急激な円高に襲われ、商売が苦しくなりました。慌てて家計を支えるために「金利」を下げてジャブジャブお金を回したことが、のちの「バブル崩壊」という大怪我の引き金になりました。
3. 家のルールへの口出し(年次改革要望書・構造協議)
アメリカさんはさらに、「佐藤家の家訓(規制)が厳しすぎるから、俺の商売がしにくいんだ。壁を壊せ、台所のルールを変えろ、お前の家の貯金をもっと外で使えるようにしろ」と、佐藤家の内政に細かく口を出してきました。
- 家庭での実態:
お父さんは「はい、分かりました」とアメリカさんの言う通りに家の壁を壊し(規制緩和)、家族が大切にしていた「護送船団方式」のルールを捨てさせられました。郵貯も差し出しました。しかし、それは佐藤家を強くするためではなく、アメリカさんが商売をしやすくするための改変でした。
4. 高額な「型落ち商品」の押し売り(防衛装備品)
最近では、アメリカさんは「最近、裏の家の連中(他国)が不穏だろう? もっと性能のいい防衛グッズを買えよ」と、非常に高額な道具を勧めてきます。
- 家庭での実態:
借金で火の車なのに、お父さんはアメリカさんに嫌われるのが怖くて、言い値で「型落ちの武器」をローンで買い続けています。これがお小遣い(福祉や教育)を圧迫する一因となっています。
精神医学的診断:佐藤さんの「対米ストレス症候群」
この関係を診察すると、佐藤お父さんの脳は以下のような状態にあると言えます。
- ストックホルム症候群(支配者への同調):
長年、脅されたり守られたりしているうちに、佐藤さんは「アメリカさんの言う通りに動くのが、自分たちの幸せなんだ」と思い込むようになりました。脳が「NO」と言うための回路を、生存本能として自ら遮断してしまった状態です。 - 前頭葉の機能不全(主体性の喪失):
自分で「家をどう守り、どう稼ぐか」という戦略を立てる部位が萎縮しています。アメリカさんから送られてくる「指示書」をこなすだけのルーチンワークに慣れすぎて、「自分で考える脳」が機能しなくなっています。 - 過覚醒と麻痺(HPA軸の疲弊):
アメリカさんが機嫌を損ねるたびに、お父さんの脳内ではストレスホルモン(コルチゾール)が跳ね上がります。30年もそれが続いた結果、もはや感覚が麻痺し、どんな理不尽な要求をされても「いつものことだ」と受け流して、根本的な治療(自立)に向かえなくなっています。
結論
佐藤家がボロボロになったのは、自分たちの不摂生(構造転換の遅れ)もありますが、「隣の強気な家主に、財布の紐も、家のルールも、身の守りもすべて握られ、都合よく搾取されてきた」という側面も非常に大きいです。
お父さんは「アメリカさんと仲良くしている」つもりですが、客観的に見れば、「高額な用心棒代を払いながら、自分自身の筋力(国力・生産性)を奪われ続けている」悲劇の主人公に見えます。
