厚生労働省が公表している最新の統計(令和4年度/2022年度)を中心に、現在の日本の状況をお伝えします。
2004年の「49人」という数字と比較すると、残念ながら虐待死の数は依然として高い水準にあり、むしろ把握される件数は増えている側面もあります。
1. 最新の統計数字(令和4年度:2022年度)
厚生労働省の「児童虐待による死亡事例等の検証結果(第19次報告)」によると、1年間で亡くなった子供の数は以下の通りです。
- 心中以外の虐待死:56人
- 心中による虐待死:17人
- 合計:73人
ここ10〜20年の推移を見ると、心中を除いた虐待死は毎年「50人〜70人前後」で推移しており、「1週間に1人以上の子供が虐待で命を落としている」という深刻な状況が続いています。
2. 2004年当時との違いと特徴
ご提示いただいた2004年のデータと比較して、現代の統計から見える特徴は以下の通りです。
① 依然として高い「0歳児」の割合
亡くなった子供のうち、0歳児がもっとも多く、心中以外の虐待死(56人)のうち24人(約43%)を占めています。さらにその中には、生後まもなく(日齢0日)亡くなるケースも少なくありません。
② 加害者の内訳
心中以外の虐待死において、加害者は「実母」が最も多く(約半数)、次いで「実父」となっています。2004年の統計でも実母が最多でしたが、その傾向は現在も変わっていません。背景には、予期せぬ妊娠、孤立育児(ワンオペ育児)、精神疾患、経済的困窮などが複雑に絡み合っています。
③ 虐待相談件数の激増
死亡者数以上に衝撃的なのが、全国の児童相談所が対応した「虐待相談件数」の増加です。
- 2004年度:約33,000件
- 2022年度:219,170件
この20年で約6.6倍に増えています。これは、虐待そのものが増えただけでなく、社会の意識が高まり「通告」が増えたこと、心理的虐待(子供の前でのDVなど)の件数がカウントされるようになったことも要因です。
3. なぜ減らないのか(現代の課題)
2004年当時から法整備は進みましたが、新たな課題も浮き彫りになっています。
- 孤立化の進行: 核家族化が進み、近隣との付き合いも希薄になる中で、親が誰にも助けを求められない「密室育児」が深刻化しています。
- 精神的・経済的問題: 発達障害への理解不足や、親自身の非正規雇用による経済的不安、精神的な不安定さが虐待の引き金になるケースが多く報告されています。
- 心理的虐待の増加: 現在、相談件数の約6割を占めるのが「心理的虐待」です。夫婦喧嘩を子供に見せる(面前DV)などが子供の脳に深刻なダメージを与えることが知られるようになりました。
まとめ
2004年に49人だった虐待死は、現在も年間70人前後(心中含む)という数字で推移しており、根本的な解決には至っていません。
しかし、2004年当時と大きく違うのは、「親へのケア」の重要性がより強く叫ばれるようになったことです。かつては親を「加害者」として糾弾する傾向が強かったのですが、現在は「親もまた支援が必要な存在である」という認識に基づき、特定妊婦(支援が必要な妊婦)への早期介入や、産後ケアの拡充が進められています。
もし周囲で「危うい」と感じる家庭がある場合、あるいはご自身が苦しい場合は、2004年当時よりも整備された児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」などの窓口が、24時間体制で対応するようになっています。
