DeepSeek R1の衝撃と「推論能力」の民主化 : 米中対立の影響

【文字起こし:30:00 – 42:00】

■ DeepSeek R1の衝撃と「推論能力」の民主化 [30:00]

2025年1月に中国のDeepSeek(ディープシーク)が発表した「R1」というモデルは、AI業界に凄まじい衝撃を与えました。

OpenAIが2024年秋に出した「o1」は、回答を出す前に「思考のプロセス」を挟むことで、数学やプログラミングの能力が飛躍的に高いモデルでしたが、その作り方は秘密にされていました。

しかし、DeepSeek R1は、o1と同等の高い推論能力を持ちながら、その**「作り方(手法)」を論文で完全に公開した**のです。これにより、人類共有の財産として技術が積み上がることになりました。

■ RLVR(強化学習)によるブレイクスルー [31:00]

DeepSeekが公開した手法の核となるのが、強化学習を用いた推論能力の向上です。

数学やプログラミングは、「答えが正しいか」という明確な報酬基準(ベリファイ)があります。この明確な基準がある領域で「じっくり考えさせる」強化学習を行うと、その分野だけでなく、他の汎用的な推論能力までもが向上することが分かりました。これが昨年のAI研究における最重要トピックとなりました。

■ 政治的リスクとオープンソースの利用 [34:00]

中国製モデルを使うことのリスクについて、今井氏は「使い分けが重要」と指摘します。

  • クラウド利用の場合: 入力したプロンプトが中国のサーバーに飛ぶため、機密情報の入力にはリスクがあります。
  • ローカル利用の場合: 自分のPCにダウンロードして動かす分には、セキュリティ上の漏洩リスクはありません。ただし、歴史認識や領土問題など、モデルに組み込まれた政治的バイアスには注意が必要です。一方で、数学や科学、コーディングといった「政治が介在しない領域」では、非常に有用です。

■ トランスフォーマーを超える?新アーキテクチャ「MHC」 [36:50]

現在の生成AIは、2017年にGoogleが提案した「Transformer(トランスフォーマー)」という技術をベースにしています。この9年間、王座に君臨し続けてきましたが、DeepSeekは「MHC」という新しいアーキテクチャの論文を出しました。

単なる理論だけでなく、「すでに社内で大規模モデルを学習中である」という匂わせがあり、もしこれがトランスフォーマーを置き換えるような性能を見せれば、半導体チップの設計からインフラまで、業界全体がひっくり返るような大騒動になる可能性があります。

■ 2026年の注目テーマ「継続学習(コンティニュアル・ラーニング)」 [41:20]

2026年の最重要研究テーマとして挙げられたのが「継続学習」です。

これまでのAIは、一度学習が終わって製品化されると、その中身(ニューラルネットワーク)は変わりませんでした。しかし、それでは個人の最新データや企業の環境にリアルタイムで適応できません。

「使いながら賢くなる」ことが求められていますが、そこには大きな壁がありました。それが**「破壊的忘却(カタストロフィック・フォーゲッティング)」**です。


このセクションでは、中国のDeepSeekがいかに研究界をリードしているか、そして次なる技術的関心が「AIの記憶と学習の維持」に移っていることが詳しく語られています。


ご指定いただいた動画「【ChatGPT“大赤字”が招く悪夢】『AIバブルの不都合な真実』著者・クロサカタツヤ」の32:30から36:30までの内容を要約・文字起こししました。

このセクションでは、AIバブル崩壊を加速させるメカニズム(金融、技術、政策、社会倫理)のうち、主に**「政策(国家安全保障・米中対立)」「人材・ビザの問題」**について語られています。

32:30 – 33:43:政策と国家安全保障の壁

  • 依存と安全性のジレンマ: AIが社会に浸透するほど、政府は国民を守るために「安心して依存できるもの」を求めるようになります。これが国家安全保障の観点と結びつきます [32:32]。
  • 米中対立の影響: アメリカから見れば中国は脅威であり、中国もアメリカの出方を見て「自分たちでやり切るしかない」と腹を括っています。半導体が制限されても、自国内の技術(ファーウェイのハイシリコン等)で最適化する戦略に切り替えています [32:47]。
  • AI産業の想定外: 現在のAI産業は「データを集めてインフラを増やす」ことばかり考えており、このような「特定のデータや領域しか使えない」という政策的な制限は十分に想定されていません [33:30]。

33:43 – 35:56:AI人材の歪な構造とビザ問題

  • 人材の中国依存: アメリカのAIトップ人材(アルゴリズムや次世代構造を考えるサイエンティスト)の多くは中国にルーツを持つ人々です。学会を支えているのも中国人の学生が多く、彼らがいなくなるのは現実的に不可能です [34:07]。
  • インド人の貢献: 現場のオペレーションを支える層にはインド人が非常に多く、一方で「純粋なアメリカ人」のAI人材はほとんどいないのが実態です [35:10]。
  • H-1Bビザの問題: トランプ政権下で議論されるビザの厳格化は、AI企業に対する「人頭税」のような側面があります。トップティアの人材には高い給料を払えるため、結局はAI企業から金を巻き上げる仕組みになっています [35:33]。

35:56 – 36:30:政府の矛盾と外的ショック

  • ねじれた構造: 「中国を排除せよ」と言いつつも、現実には中国人やインド人のエンジニアに頼らざるを得ないという矛盾があります [36:05]。
  • バブル崩壊のトリガー: この矛盾を、政治家(特にトランプ氏のようなタイプ)が「アメリカファースト」という象徴的なスローガンで叩きに行くことで、AI業界に「外的ショック」が発生し、バブル崩壊の要因の一つになると予測されています [36:20]。

V4に採用が予想される新技術②:mHC mHCとは何か

mHC(Manifold-Constrained Hyper-Connections)は、残差接続(Residual Connection)の拡張系である「Hyper-Connections(HC)」をスケール学習で破綻しにくい形に制約付きで整形した枠組みです。

背景:なぜmHCが必要なのか 残差接続を複数ストリーム(枝)に拡幅し、枝間を混ぜる学習可能な写像を導入するHC(Hyper-Connections)は、ネットワークの表現力を高めます。しかし、残差接続の重要な性質である「恒等写像(identity mapping)=信号の保全」が崩れると、深くするほど信号が増幅/減衰して不安定になります。

mHCの解決策:双確率行列への射影 mHCは、HCで使う枝混合行列をBirkhoff polytope(双確率行列の集合)に投影します。具体的にはSinkhorn–Knoppアルゴリズムを用いて、行和・列和が1となる制約を課します。

双確率行列で混ぜると「入力特徴の凸結合」になり、枝平均の保存、ノルムの正則化、勾配消失/爆発の抑制といった効果が得られます。さらに、双確率行列は積に関して閉じているため、層を重ねても保全性が維持されやすいという数学的な利点があります。

mHCの実装最適化 mHCは、数学的制約だけでなく、カーネル融合、TileLangによる混合精度カーネル、DualPipeスケジュール(通信と計算のオーバーラップ)などにより実装面でも最適化されています。

論文では、大規模学習で安定的に動作し、追加の学習時間オーバーヘッドが約6.7%に抑えられているという主張があります。

EngramとmHCの組み合わせ


破壊的忘却(カタストロフィック・フォーゲッティング)も興味深い。

一旦学習が終了しても、その後の情報を収集して更新するとして、その場合に、新しい知識を学習したら、古い部分が失われることがあり、それは予想することもできない。
例えていえば、日本の歴史で、GHQの占領を学習したら、突然徳川家康を忘れて、江戸幕府は織田信長が開いたとか、そんな答えを出したりして、困るのだという。
しかしだからといって、学習を停止すると、日本の総理大臣の歴史が古いままで止まってしまったりする。だから、危険だけど、学習を続けるしかないのだけれども、破壊的忘却は予想できない、さて、どうする。


中国についての言及は様々にされている。
今現在は中国はアメリカと向き合って、なかなか頑張っている。
中国で精神科治療を受けていた中国人が、治療の内容や使用薬剤を見せてくれるし、中国で精神医学教育に使っている教科書を見たこともある。治療も教育もアメリカ式の標準的なものだった。
富国強兵の真っただ中だから、福祉はこれからの面もあるのだろう。独自色はあまりなかった。


医学研究のことで言えば、医学論文の著者で見ると、中国人やインド人の名前は多い。非常に多い。孤独に研究しているというよりは、仲間と協力して大規模に論文を共有しあっているような印象もある。エネルギーを感じる。論文の著者も査読者もみんな中国人とインド人ではないかと思うくらい。

しかし今後、中国の少子高齢化は急速に進む。現段階なら、一人の中国人が、老齢者の年金の20人分くらいは稼ぐだろう。しかしいつまで続くか。
何かの事情で、現在の中国不動産バブルのようなことが固定化したりして、人々の気分が変わったたりすれば、急速に復古主義になりそうな気もする。

何しろ、中国の場合は歴史が長い。復古主義という場合も、一つにまとまらず、唐がよかったとか、宋がよかったとか、いくつも派閥ができそうではないか。
日本の場合は、復古といっても、外国と戦争して勝ったのは日清日露戦争くらいで、それもあまり繰り返したくない感じのことだろうから、では、復古主義者はどこに復帰しようというのだろうか。
ギリシャやイタリアは栄光の歴史はあるが、遠すぎるような気もする。イギリス、フランス、ドイツは、そんなに昔はそんなに昔は存在していなかった。一方、アメリカとか中南米諸国に至っては復古すると先住民になってしまうではないか。
その意味では、中国の国力が衰えたとき、復古主義の内容がどうなるのか、見てみたい気もする。

アフリカで人類が誕生して、各地に散らばり、その一部が北に向かい、ゲルマン民族などはあんなに寒い地域にしばらく暮らして、そのあと、西欧社会の中心を占めた。
単なる想像であるが、アフリカで、たぶん、喧嘩になったわけでしょう。食料分けてやらないとか、家族を維持できないとか、喧嘩に負けたほうが移動して、どんどん負けて、寒い地域に至ったのではないだろうか。ゲルマン人。
よい方に想像すれば、現状の暮らしに飽き飽きして、冒険したいとか、もっと豊かになれると確信したとか、宗教的な信念があったとか、何かプラスの動機があったのかもしれない。

寒い方に向かった遺伝子が、何か現代文明と相性の良い部分があったのだろうか。あるいは、マイナスの理由で寒い地域に向かわざるを得なかった人たちが、長い時間の間に遺伝子の変化を起こしてそれを継承したものだろうか。その結果、現代文明とか、自然科学に適応する遺伝子を得たものか。

中国も、北の蛮人が軍事的には強力だった。寒い北に住むことは、決して人間に有利な環境ではないと思うが、やはり北で育った人たちは戦争に強くなるようだ。戦争に強い遺伝子と、現代文明、資本主義、自然科学と相性がいいのだろう。

中国では北の蛮族が、中国中央部の平原に保持された中国文明を受け入れた。西欧でも、ギリシャ、イタリアの伝統が結局、西欧の基礎を作って、北の蛮族ゲルマン人を教育した。それで、現在のキリスト教の形になって、妥協した形で、クリスマスを祝ったりしている。

軍事は北で、文化は中央。

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今、ロシアも大変で、多民族国家の運営は途方に暮れるだろう。中国も同様で、いろいろ批判はされるけれども、辺境異民族を統治するには苦労も多いだろう。別段、そんなものを無理に統治しなくてもよいのだろうが、それは、カント的な世界政府の展望が少しはあるのかもしれないと想像する。

世界政府が実現したとして、アメリカはいる、ロシアも中国もいる、イスラエルもいる、トルコもイランもEUも、インドとパキスタン、その他もいて、統治など絶望的で、世界警察と世界軍はどれだけ強力にしないと意味がないか、それが中国やロシアの現在から想像できると思う。せめて法律は守りなさいと言い聞かせるだけで、どけだけ苦労するか、その担保として、警察権力と軍事力と情報部がどれだけ予算をかければ実現できるのか、やはり難しそうだ。

中国式統治が時間を経て経験を積み、コツがつかめれば、それを世界政府に延長できるかもしれない。

世界的に精神が成熟して民主主義的に平和的に人権尊重で統治体制が整うのを待つのは、何千年かかるのだろう。人間の脳の構造が解剖学的に変化しないと実現できないと思うが、どうだろう。もう一回多く細胞分裂して、神経細胞数が2倍になるとか。まあ、数ではないけれども。世界議会では話し合いは途中でやめて、相手の頭蓋骨に穴をあける。それが放置されて、2000年くらいたって発掘される。また穴の開いた頭蓋骨だよと考古学者と人類学者を絶望させる。しばらくはそんな感じだろう。

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日本で高度経済成長して現在、低迷。韓国もいろいろあった。中国は高成長を遂げて、遠くない将来、ヨーロッパ諸国並みの落ち着いたというべきか、低迷というべきか、そのような状態になるだろう。

人口ボーナスが終わる。一人っ子政策の中で、二人目が生まれても戸籍にも入れない。農民工が都市に流入。奴隷がいれば経済は成長する。そして奴隷がいる限りにおいて、経済は成長する。人権尊重が視野に入った瞬間に、奴隷は消えて、逆に国家の補助を求める人間ばかりになる。

しかし、奴隷だろうが何だろうが、経済が高度成長しているときは、みんな酒の飲みっぷりがいい、性愛もためらいはない、夢は大きい、無理もきく、契約関係よりも義理人情が好きだ、これから俺は金持ちになるぞと叫んでいる。自分は官僚として国家のために生きると決意を固め涙を流している。いい国を作るぞと団結している。みんなで金持ちになるぞと信じていられた。

そんな時代が、日本にも来て、終わった。韓国にも来て、終わった。中国にも来て、やがて終わるだろう。インドもたぶん。

経済が上向きの時は精神も上向きということだ。上部構造は下部構造次第である。上部構造同士で、くだらない話に付き合っているよりは、下部構造をさっさと変革したほうがいい。下部構造を変革せざるを得ないほどの科学技術を発明するしかない。人間の精神など、大部分は現実環境の経済条件の結果でしかない。

国民は、貧しくなることが第一の不幸である。そしてその下部構造の変化の結果、精神も変化してしまうことが、第二の不幸である。

貧しくなれば、基本的人権のことなど忘れる。
貧しくなれば、原発の補助金が欲しくなる。
貧しくなれば、軍事費のおこぼれが欲しくなる。
自由をお金に換え、平等をお金に換え、正義も平和もお金に換えて、今日を生きるために使ってしまう。
挙句の果ては、隣人の不幸を喜ぶ。

投票する?いったい何のために?一票いくらになるかだけが関心事だ。

とりあえず、何にしても、ぴかっと輝いた瞬間があった、どんな末端の、どんな奴隷的な存在の人でも国が上り坂の時には輝いているのだ。

不思議なことだ。個の独立とか言っているくせに、個の自由など投げ捨てて、集団的群生動物に後退することが大安心であるらしい。そしてみんなでピカピカに輝いている。

他国からの選挙干渉と他国からの政治的先導・扇動が行われ、反権力指導層が作られ、平和的革命も、暴力的な革命も、行われ、自分も反政府国民防衛隊に入ったり、逆に国家防衛軍に入ってみたりもして、政治的季節を生きる。結局それは、CIAが敵と味方を同時に援助していた、そんな組織だったと知ることになる。

経済的にピカピカだったり、政治的に暑い季節だったりした。その変化には法則が有り、別の地域でまたピカピカが始まって終わる。

情念が先にあるのではなく、経済が先にある。その経済の上でうまく咲く花、それが政治の情念である。非常に他者依存的、状況依存的である。自発的とも言い難い。経済による必然性はあるが、情念の側の必然性はない。従属変数であって、独立しているのは経済の側である。

ともあれ、何であれ、高度経済成長期には軽躁的にピカピカしているのである。軽躁に似つかわしい無意味さで輝いている。ただ自分が愚かであることを確認するように、そして隣の人間も自分と同じくらい愚かであることを確認するかのように、その人たちは輝いているし、その輝きを疑問に思うこともない。

アリ塚のアリである。ただ悲しい。あるいはただ白い感情で見ているだろである。

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