最近の不動産価格の高騰は、この業界で働く私から見ても「度が過ぎる」状況だと感じている。
当社の最寄り駅である東急東横線妙蓮寺駅(横浜市港北区)から徒歩10分圏では、土地を購入して注文住宅を建てる場合、新型コロナウイルス禍の前であれば7000万円あれば十分だった。しかし、今は9000万円程度から1億円を超える予算が必要になってきた。これは土地価格はもちろん、建材価格や人件費も上がっているためだ。1億円レベルの住宅ローンを返済していくためには、世帯年収で1500万円前後は求められる。
具体的に計算してみよう。1億円のうち頭金を1000万円とし、残り9000万円について35年ローン(変動金利1%)で組むと、毎月の返済額は25万円程度になる。年収に対する返済比率(銀行審査金利3.5%)は世帯年収が1500万円なら約30%、1200万円なら約37%となる。一般的に返済比率は30%を超えると生活に余裕がなくなり、35%を超えるとそもそも銀行の審査が通らない場合が多い。つまり世帯年収が1200万円では足りず、1500万円で「ぎりぎりで安全圏内」となる。
振り返れば、コロナ禍前は近隣の賃貸住宅にお住まいのファミリー層が「子どもが大きくなったので、そろそろ家が欲しい」という理由で当社にご来店いただくことが多かった。
よくあるケースは、社会人として経験を積みながら20代後半になり、将来が見えてきた頃にパートナーと出会って2人の生活をスタート。東横線では比較的賃料がお得な妙蓮寺エリアで賃貸物件を借り、その後、子供が生まれて、待機児童が多い中で何とか保育園の入園を決め、奥様は産休から職場復帰を果たす。そして、数年働いて子供が小学校に入学する前のタイミングで「入学後に転校させるのはかわいそう」という理由から、住宅購入に本腰を入れて探し始めるといった感じだ。
先ほど、コロナ禍前は土地と新築の注文住宅は7000万円あれば十分だったとお伝えしたが、建売住宅やマンションなら駅から比較的近い立地でも6000万円前後で買えた。ところが、コロナ禍後は東横線沿線の相場が高騰し、戸建てもマンションも価格が1000万~2000万円レベルで上がってしまった。
そのためこの妙蓮寺エリアでの住宅購入を諦めて、横浜市南部など価格相場が下がる地域へ引っ越すケースが増えている。実際、地元の小学校では新居を求めて学区外に転出する家庭が珍しくはない。また、新入生の人数も減って1年生は4クラスから3クラスに減るという事態も起きている。
