🇯🇵 日本人の母親役割意識と自己犠牲
🌸 背景にあるもの
日本では、
- 母親は家族を第一に考え、自己犠牲して当然
- 母性は無償で、限界がない
といった社会文化的期待が根強くあります。
そのため、
- 「自分のことより子どものこと」
- 「自分だけ楽になってはいけない」
- 「母親が弱音を吐いたら家族が困る」
といった思考が染みついている人がとても多いです。
結果として、
- 自分の感情や欲求を抑え込む
- 身体や心が悲鳴をあげるまで我慢する
- ケアを受けることに強い罪悪感を抱く
ようになります。
💔 よくある訴え
例えば臨床ではこんな言葉をよく聞きます。
🗣️
「子どものことを思うと、自分だけ楽になるのは悪い気がして…」
「夫や子どものために我慢するのは母親なら当然ですよね」
「私なんかより、もっと大変な人はいるから」
「母親なんだから弱音を吐いちゃダメですよね」
これらは 自己批判や自己犠牲を当たり前に感じている言葉 です。
🌿 CFTでの対応のポイント
① まず「母親としての価値観」を尊重する
頭ごなしに
「もっと自分を大事にしてください」
と言うと、逆に
「それができない私がまたダメな母親なんだ」
と自己批判を強めます。
まずは
- 「お子さんや家族をそれだけ大事にされてきたんですね」
- 「それはとても愛情深いことですよね」
と母親としての価値観や努力をしっかり 承認 することが大切です。
② その上で「あなた自身の安心や元気が、家族の安心になる」視点を提案
日本人の母親は「自分のため」より「家族のため」に動機づけられやすいです。
そこで、
🌷「お母さんが少しでも安心できると、それがそのまま家族の安心や笑顔につながりますよね」
🌷「お母さんの元気は、家族にとって一番の宝物なんですよ」
と伝えると、自己ケアを “自己犠牲を裏切る行為” ではなく、むしろ家族への愛の延長 と捉えやすくなります。
③ 小さなケアから
「もっと自分を大事に」と言っても大きすぎます。
- まずは 一日に5分だけ 自分の体を労わること
- お茶をゆっくり飲む、深呼吸をする、肩をさする
それだけでも
- 「お母さん自身の安心システム」が少しずつ活性化し、
- 子どもの笑顔にもより穏やかに応じられるようになります。
④ 思いやりの練習を「子どもを思いやるのと同じように」行う
🌸「お子さんが失敗したとき、どんな声をかけますか?」
🌸「その優しい声を、ちょっとだけご自身にも向けてみませんか?」
すると
🌱「母親は自分に厳しくするもの」ではなく、
🌱「母親だからこそ、優しい気持ちを自分にも向けられる」
という体験が少しずつ増えます。
⑤ 「自分だけ楽になる」ことへの罪悪感には
🌸「それは“自分勝手になる”こととは全く違いますよ」
🌸「むしろ、それをやるからこそ、また家族に優しくできるんです」
と繰り返し伝えます。
何度も言葉を変えながら伝えるうちに、
🌼「私が少し楽になっていいんだ」
という小さな許しが芽生えてきます。
📝 日本人の母親役割意識に根ざした自己犠牲へのCFTのまとめ
✅ 母親としての価値観をまず尊重し、承認する
(これまでどれだけ頑張ってきたかを一緒に言葉にする)
✅ 「お母さんの安心は家族の幸せにつながる」と視点を変える
(自己ケアを家族への愛情の一環として捉える)
✅ 子どもへの優しさを少し自分にも向ける練習
(抵抗が少なく、自責を避けやすい)
✅ 小さな自己ケアから始める
(大きな自己主張や自己肯定は怖いので、まず身体レベルで少し緩める)