今、日本政府はアメリカ政府と相談して、「投資」として80兆円を約束しています。1億2000万人で割り算すると、一人70万円、4人家族で280万円という、途方もない数字ですが、私の計算違いでしょうか。このような搾取というか、収奪は、国家間でよくあるのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。まず、計算自体は正確です。80兆円を1億2000万人で割れば約67万円、4人家族で約267万円(約280万円という感覚は非常に近いです)となります。
しかし、この「80兆円の約束」という情報の中身と性質を整理すると、見え方が少し変わってくるかもしれません。現在、議論されている「80兆円」という数字は、主に以下の2つの文脈で語られることが多いです。
1. 「80兆円」の正体:累積の直接投資額
政府が税金から一括でアメリカに支払うという話ではなく、多くの場合、「日本企業による対米直接投資の累積額」を指しています。
- 何が含まれるか: トヨタやパナソニックといった日本企業がアメリカに工場を建てたり、企業を買収したりした費用の積み重ねです。
- 誰のお金か: 国会で決める「予算(税金)」ではなく、各「民間企業」が自社の利益や借入金で行っているビジネス資金です。
- 目的: アメリカ市場で稼ぎ、その利益を日本に配当として戻すための「資産」です。
2023年以降、日米首脳会談などで「日本はアメリカへの最大の投資国である」と強調されていますが、これは「これだけアメリカ経済に貢献しているのだから、日本を大切に扱ってほしい」という外交カードとして使われています。
2. 「公的資金」の動き(GPIFや外貨準備)
もし「政府が関与しているお金」を指している場合、以下の2つが考えられますが、これらも「奪われる」という性質とは異なります。
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人): 私たちの年金原資を運用していますが、その一部(約50〜60兆円規模)が米国債や米国株で運用されています。これは「貢いでいる」という側面もありますが、形式上は「将来の年金を増やすための運用」であり、利益(配当や利子)は日本側に還元されます。
- 外貨準備: 日本政府は約1.3兆ドル(約200兆円)の外貨準備を持っており、その多くが米国債です。
「搾取」や「収奪」と言えるのか?
ご質問にある「搾取・収奪」という視点は、非常に鋭い社会批判的な視点です。経済学や政治学の観点からは、以下のような議論があります。
1. 批判的な見方(搾取に近いという説)
- 資本の流出: 本来なら日本国内の設備投資や賃上げに回るべき80兆円という巨額の資金が、アメリカの雇用やインフラを作るために使われている。これは「日本の空洞化」を招いており、事実上の経済的従属であるという批判。
- 属国的な外交: アメリカの経済を支えることを約束させられる(買わされる)ことで、日本の外交的自立が損なわれているという見方。
2. 肯定的な見方(投資であるという説)
- 収益の還流: アメリカは世界最大の市場であり、そこで稼いだ利益が日本企業の経常収支を支えています。現在、日本は「貿易」ではなく「投資の上がり(配当・利子)」で食いつないでいる国です。
- 安全保障のコスト: アメリカの経済に日本が深く食い込むことで、アメリカが日本を見捨てにくくする(経済的な運命共同体になる)という安全保障上の戦略。
結論
あなたの計算された「一人あたり70万円」という数字は、「日本という国がアメリカに預けている、あるいは投資している資産の規模」をイメージする上で非常に正しい感覚です。
それが「搾取」なのか「賢い投資」なのかは意見が分かれるところですが、「国民の生活が苦しい中で、なぜ国内ではなく海外にこれほど巨額の資本が流れるのか」という疑問は、現在の日本経済が抱える最も深刻な矛盾の一つを突いています。
国家間でこのようなことは「よくある」ことではありますが、日本は世界最大の対外資産保有国であり、他国に比べて「国内に使わず外で運用する」傾向が極めて強いという特殊な状況にあります。
まず計算から確認します。
80兆円 ÷ 1億2000万人 = 約66万6千円
ですから、
- 一人あたり約67万円
- 4人家族で約270万円前後
あなたの「70万円」「280万円」という感覚は、ほぼ正確です。計算違いではありません。
ただし、ここで重要なのは「性質」です
この80兆円が何なのかによって意味は全く変わります。
① 本当に政府が現金で拠出するのか?
→ ほとんどの場合、そうではありません。
報道で言われる「○十兆円規模の投資」という表現は、
- 民間企業の投資額を含む
- 数年~十数年の累計
- 政府保証や融資枠を含む
- 既存予算の組み替えも含む
といった“パッケージ総額”であることが多いです。
つまり、
国民一人から67万円を徴収して渡す
という単純な構造では通常ありません。
国家間で「こうした巨額パッケージ」はよくあるのか?
答えは:はい、よくあります。
典型例
- 日米半導体協力投資
- 在日米軍思いやり予算
- EU復興基金
- 中国の一帯一路
- IMF拠出金
- ウクライナ支援パッケージ
国家はしばしば:
- 安全保障
- 同盟維持
- 市場確保
- 産業政策
- 通貨防衛
のために巨額の資金枠を約束します。
これは
経済的投資
であると同時に
地政学的保険料
でもあります。
「搾取」「収奪」と言えるのか?
これは視点によります。
1️⃣ 搾取に見える立場
- 対等でない力関係
- 外圧による政策決定
- 国内生活への負担増
この場合は、
「帝国と従属国」の構図に見えます。
2️⃣ 投資と見る立場
- 日本企業が受注する
- 技術提携や雇用創出
- 安全保障コストの分担
この場合は、
「同盟維持のコスト」となります。
歴史的にはどうか?
国家間では、実はこうした構造は珍しくありません。
- 冷戦期の西ドイツの軍事費負担
- 韓国の在韓米軍費分担
- 日本の思いやり予算
- 戦後の賠償や援助
強い国と弱い国の間では
経済的再配分は常に政治の一部です。
完全な対等関係はほぼ存在しません。
しかし重要なのはここです
あなたが直感的に感じているのは、
「なぜ国民の生活は苦しいのに、巨額が国外に動くのか」
という感情だと思います。
この違和感は、
単なる計算の問題ではなく、
- 分配の優先順位
- 政治的正当性
- 民主的合意の有無
の問題です。
冷静に整理すると
80兆円という数字は巨大ですが、
- 何年分か?
- 実際の財政支出はいくらか?
- 民間投資はいくらか?
- リターンは何か?
を分解しないと、実態は見えません。
数字は確かに巨大です。
しかし国家財政は、しばしば「演出された巨大さ」で語られます。
