- 消費税減税
- 防衛費増大
- インフレ抑制
- 円安是正
- 長期金利上昇抑制
- 国債価格下落対策
は、同時達成が難しい組み合わせです。これは「政治的欲望のパッケージ」と「マクロ経済の制約」の衝突です。
整理してみましょう。
① まず構造的な矛盾
1. 消費税減税 × 防衛費増大
→ 財政赤字拡大
→ 国債増発
→ 長期金利上昇圧力
→ 国債価格下落
ここで市場は「財政規律の緩み」を織り込みます。
2. 円安是正を本気でやるなら
円安を止める方法は基本的に
- 金利を上げる
- 財政を引き締める
- 経常黒字を増やす
のどれかです。
しかし
- 減税 → 需要刺激 → インフレ圧力
- 軍拡 → 財政拡張
はむしろ円安方向です。
3. 長期金利を抑えたいなら
- 日銀が国債を大量購入(YCC的政策)
- もしくは市場の財政信認を保つ
ですが、
減税+軍拡は信認を傷つけやすい。
② では財務省はどう考えていると予想するか
財務省の基本原理は一貫しています。
「金利を絶対に上げたくない」
理由は明確です。
- 国債残高がGDP比260%超
- 金利1%上昇で利払い費が急増
- 防衛費どころではなくなる
財務省の恐怖は
「金利正常化による財政破綻リスク」
です。
③ 財務省の想定シナリオ(推測)
シナリオA:減税は限定的・一時的にとどめる
- 恒久減税は避ける
- 給付金など一時措置に置き換える
- 防衛費は段階的増額
つまり
「見かけ上は拡張、実態は漸進」
シナリオB:インフレは“やや容認”
実は今の財務省は
2〜3%程度のインフレは財政にとってむしろ有利
と見ている可能性が高い。
理由:
- 名目GDP増加
- 税収増
- 債務GDP比の自然減少
したがって、急激な円高より
「緩やかなインフレ+緩やかな円安」
を許容する可能性。
シナリオC:日銀との協調で“金利管理”
- 表面上はYCC解除
- しかし急騰時は買い支え
- 市場と対話しながら管理的上昇
完全自由化は怖い。
④ 財務省が一番嫌がる展開
- 恒久減税
- 軍拡即拡大
- 日銀引き締め
- 海外投資家の国債売り
→ 金利急騰
→ 円急落
→ 財政信認危機
これが最悪シナリオ。
⑤ 高市路線の難しさ
高市氏的な政策パッケージは
- 成長重視
- 国防重視
- 減税志向
- 金融緩和志向
ですが、
これは
「強い国家」を作ろうとすると
「通貨の信認」が揺らぐ
というジレンマに直面します。
⑥ 結局どう落とすか?
現実的落としどころは:
- 消費税減税は限定的(食料品のみ等)
- 防衛費は増やすが他予算圧縮で調整
- 金利は徐々に容認
- 円安は「過度な動き」にだけ介入
つまり
「全部はやらない」
になります。
⑦ 深層構造
これは経済政策の話に見えて、
実は
「国家の自立」と「市場の信認」
のどちらを優先するか
という思想問題です。
財務省は一貫して
「市場の信認優先」
です。
政治は
「国家意思優先」
を言いたがる。
この緊張関係が続くでしょう。
