非常に重要な比較です。
韓国儒教は、中国儒教の単なる受容ではなく、より純化・強化された父性的秩序としての儒教を形成しました。
その結果、日本型・中国型とは異なる独自の超自我構造が生まれます。
以下、構造的に整理します。
Ⅰ 歴史的前提
1 中国:儒教は国家統治の原理
中国では儒教は官僚制国家の統治理念でした。
科挙を通じて抽象原理(道・義)が制度化されました。
しかし同時に、
- 道教
- 仏教
- 法家
- 民間信仰
が共存し、思想は多元的でした。
儒教は国家原理だが、社会全体を完全に覆ってはいない。
2 韓国(朝鮮王朝):儒教の徹底的国家化
朝鮮王朝(1392–1910)は、儒教を国家の唯一正統思想として徹底しました。
特に朱子学が絶対化されます。
- 仏教は抑圧
- 民間信仰は周縁化
- 王権も儒教倫理の下に置かれる
ここで重要なのは:
儒教が社会倫理の隅々まで浸透した
という点です。
Ⅱ 精神構造の比較
1 中国儒教
- 原理への忠誠
- 君主は条件付き
- 不義なら去る
- 実務的・現実的
超自我は抽象原理だが、運用は柔軟。
2 韓国儒教
- 朱子学の厳格化
- 礼の徹底
- 家父長制の強化
- 身分秩序の固定
超自我は:
極度に強い父性的規範
特徴:
- 義務が絶対
- 道徳が人格評価そのもの
- 恥と罪の両方が強い
3 日本との対比
日本は儒教を受け入れましたが、
- 武士道
- 神道
- 仏教
と混淆しました。
朱子学は導入されたが、社会全体を完全支配はしない。
結果:
日本型超自我は
→ 情緒的・関係的
韓国型超自我は
→ 原理的かつ家父長的
Ⅲ 超自我の三類型(日中韓)
| 日本 | 中国 | 韓国 | |
|---|---|---|---|
| 基盤 | 関係 | 原理 | 原理+家族秩序 |
| 忠誠対象 | 人格 | 天理 | 父権秩序 |
| 離脱 | 困難 | 可能 | 極めて困難 |
| 感情 | 恥 | 義 | 義+恥+罪 |
| 強度 | 柔らかい圧力 | 理知的 | 強迫的 |
Ⅳ 韓国儒教の特徴
1 家族の絶対化
孝は最上位徳目。
父は道徳的秩序の中心。
「父の名」が象徴秩序の核になります。
これはラカン的に言えば、
父の名が強固に作動する社会
です。
2 道徳の人格化
韓国儒教社会では、
行為が悪い=人格が悪い
となりやすい。
倫理が存在論化する。
3 退出が難しい
中国では「去る」が可能でした。
しかし韓国儒教では:
- 家族
- 宗族
- 血縁
が強固。
社会から去ることは、自己消去に近い。
Ⅴ 精神病理的含意
(文化病理論として)
日本型
- 過剰同調
- 自己消失
- 依存型構造
中国型
- シニシズム
- 道徳的自己完結
- 冷却
韓国型
- 強迫的倫理
- 名誉と恥の過剰化
- 自己批判の激しさ
- 家族内葛藤の重圧
Ⅵ 近代化との関係
韓国は近代化の過程で
- 儒教的父権
- 急速な資本主義
- 強烈な学歴競争
が結合しました。
これは超自我のさらなる強化を生みました。
競争は単なる経済ではなく、
家族の名誉
を背負う。
Ⅶ 実存的評価
韓国儒教は
- 倫理の強度が高い
- 責任意識が強い
- 自己規律が強い
しかし同時に
- 内面の圧迫が強い
- 自由な主体形成が難しい
Ⅷ 総合整理
日本:
関係的母性超自我(溶解の危険)
中国:
抽象的父性超自我(冷却の危険)
韓国:
強固な父権超自我(圧迫の危険)
・中国で昔、官吏をやめて隠居する人たちが多く文章や詩を残した。
・日本や韓国で自殺者が多いこと。
