治療抵抗性うつ病

ガエミ氏の理論は、現代の標準的な治療を受けても「すっきり治らない」「良くなったり悪くなったりを繰り返す」という、いわゆる治療抵抗性うつ病と診断されている患者さんにとって、全く新しい視界を切り開く可能性を秘めています。

彼のアプローチが、臨床現場で悩む患者さんに投げかけている「3つの光」について解説します。


1. 「治らないのは、診断が間違っているからかもしれない」という希望

多くの患者さんは、薬が効かないと「自分の意志が弱いのではないか」あるいは「自分のうつは一生治らない絶望的なものだ」と考えがちです。しかしガエミ氏は、**「治らないのは患者のせいではなく、医師の診断ミス(カテゴリー・エラー)のせいだ」**と明快に指摘します。

  • 双極性スペクトラムの再考: ガエミ氏によれば、抗うつ薬が効かない「うつ病」の多くは、実は**双極性障害(躁うつ病)の「うつ状態」**です。この場合、抗うつ薬を飲めば飲むほど、気分は不安定になり、イライラや焦燥感が増し、慢性化します。
  • 光: 「自分は抗うつ薬が効かない体質なんだ」と絶望している人にとって、「実は薬の種類(カテゴリー)が正反対だっただけ」という指摘は、治療の停滞を打破する強力なヒントになります。

2. 「性格や環境のせい」にされすぎない解放感

現代の治療(特に心理社会モデル)では、薬が効かないと「あなたの考え方のクセが問題だ」「幼少期のトラウマを解決していないからだ」と、心理的な側面に焦点が当たりすぎることがあります。

  • 生物学への立ち返り: ガエミ氏は、もしそれが双極性気質に基づいた脳の波であるならば、それは性格のせいでも努力不足のせいでもなく、**「純粋に脳のリズムの問題」**であると断言します。
  • 光: 患者さんは「自分の性格を根底から変えなければならない」という重圧から解放されます。まずはリチウムや生活リズムの調整によって「脳の基盤(土台)」を物理的に安定させることが先決だという順序が明確になるからです。

3. 「リチウム」という古くて新しい強力な武器

ガエミ氏は、多くの医師が副作用を恐れて(あるいは製薬会社のプロモーションがないために)避けているリチウムを、最高の治療薬として提示します。

  • 「病気そのもの」を止める: 単に今の気分の落ち込みを麻痺させるのではなく、脳を保護し、再発のサイクルそのものを止める(Disease-modifying)というリチウムの特性は、長年再発に怯えてきた患者さんにとって大きな福音です。
  • 光: 低用量リチウムという選択肢を含め、これまで「副作用の強い劇薬」だと思っていた薬が、実は「脳を守るサポーター」であるという認識の転換をもたらします。

4. 臨床的なメッセージ:診断へのセカンドオピニオン

ガエミ氏の姿勢は、患者さんに**「今の治療に疑問を持つ権利」**を与えます。

もしあなたが以下のような状況にあるなら、ガエミ流の視点が役立つかもしれません。

  • 抗うつ薬を飲むと、気分が良くなるどころか、イライラしたり、夜眠れなくなったり(アクチベーション)する。
  • 親族に躁うつ病や、非常に活動的(高揚性気質)な人がいる。
  • 季節によって、あるいは数年おきに、明らかに気分が激変する時期がある。

結論

ガエミ氏が投げかける光とは、**「あなたの苦しみには、科学的・哲学的に説明がつく理由がある」**という確信です。

「うつ」を単なる一過性の症状として叩くのではなく、その人の人生の物語(苦悩)と脳の特性(疾患)を分けて整理することで、患者さんはようやく「自分の人生をどう生きるか」という本質的な課題に向き合えるようになります。


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