ガエミ氏は、再発を「火事」に例えます。火が燃え広がってから(重度のうつや躁になってから)消火するのは大変ですが、煙が出ている段階で気づけば、リチウムの微調整や生活習慣の修正だけで食い止めることができるからです。
ガエミ氏の理論に基づき、自分自身や家族が「火種」に気づくためのチェックリストを整理しました。
ガエミ流:再発の初期兆候チェックリスト
これらは単なる「気分の変化」ではなく、**「脳のエネルギーレベルとリズムの変化」**に着目したものです。
1. 睡眠の変化(最も重要、かつ最初のサイン)
- [ ] 睡眠の質の変化: 寝つきが悪くなった、または「眠らなくても頭が冴えている」と感じる。
- [ ] 睡眠時間の減少: 普段より1〜2時間睡眠が減っているのに、翌朝の疲労感がない(軽躁の兆候)。
- [ ] 中途覚醒・早朝覚醒: 朝、絶望感と共に目が覚める。あるいは夜中に何度も目が覚める(うつの兆候)。
2. 思考と発話のスピード(「脳の回転数」の確認)
- [ ] 思考の加速(観念奔逸): 頭の中でアイデアが次々と湧き、一つのことに集中しにくい。
- [ ] 多弁: 普段より早口になった、または「喋りすぎた」と後で後悔することが増えた。
- [ ] 決断の過剰: 急に新しい予定を入れたくなったり、大きな買い物をしたくなったりする。
3. 身体感覚とエネルギー
- [ ] 感覚過敏: 音や光、他人の話し声が異常に耳障りに感じる。
- [ ] 鉛様麻痺: 体が重く、動かすのに異常な努力が必要(うつの初期)。
- [ ] 焦燥感(イライラ): じっとしていられず、足がそわそわしたり、周囲のテンポが遅すぎて腹が立ったりする。
4. 対人関係と社会リズム
- [ ] 接触の回避: メールを返すのが億劫になり、他人と会うのを避け始める。
- [ ] 攻撃性の増加: 普段なら流せることに、きつい言葉で反論してしまう。
- [ ] 過度の社交: 普段連絡しない人に電話をかけたり、SNSへの投稿が急増したりする。
サインを見つけた時の「ガエミ流・緊急対応策」
チェックリストでサインが見つかったら、ガエミ氏は「様子見」をするのではなく、即座に**「生物学的な介入」**を行うよう勧めています。
- 「光」の制限(ダークセラピーの開始):少しでも「ハイ」の兆候があれば、夜8時以降は部屋を真っ暗にし、スマホを封印します。これは脳を強制的にクールダウンさせる「薬」になります。
- 予定の「一括キャンセル」:「今やらないと!」と思っていることの9割は、脳のバグによるものです。全ての新規プロジェクトや社交を一時停止し、ルーチン(型)を最小限にします。
- 主治医への連絡とリチウム調整:ガエミ氏は、信頼できる主治医とあらかじめ「サインが出たらリチウムを少し増やす」といったプロトコル(手順)を相談しておくことを推奨しています。
- 「うつ」のサインなら「運動」を増やす:体が重くなり始めたら、無理のない範囲で、しかし意識的に「心拍数を上げる運動」を行い、脳にBDNF(栄養因子)を供給します。
結論:自分を「観測」する科学者になる
ガエミ氏が患者に求めるのは、自分の状態を主観的に嘆くことではなく、**「自分の脳という装置の挙動を客観的にモニターすること」**です。
「再発は性格の弱さから来るのではない。脳のリズムが揺らぎ始めただけだ。揺らぎに早く気づけば、人生の転落は防げる。」
。
