特別会計問題 もう一つの巨大な財布

「特別会計問題」は、日本の国家予算における「もう一つの巨大な財布」にまつわる不透明さや無駄遣いの問題です。


1. 「一般会計」と「特別会計」の違い

まず、国の家計簿には大きく分けて2つの財布があります。

  • 一般会計(表の財布):
    警察、教育、防衛など、国を運営するための基本的なお金です。ニュースで「予算100兆円」と言われるのは、主にこちらのことです。
  • 特別会計(裏の財布・特定の財布): 「特定の目的」のために、「特定の収入」を使って運営する財布です。
    • 例:年金(年金保険料で払う)、地震保険、エネルギー対策など。
      現在、13の特別会計が存在します。

2. なぜ「問題」と言われるのか?

特別会計そのものは、「保険料を年金以外に使わないように分ける」という正当な理由で始まりました。しかし、運用していくうちに以下のような問題が噴出しました。

① 規模が大きすぎる(「隠れた予算」)

一般会計が約100兆円なのに対し、特別会計をすべて合わせると、その総額は約400兆円〜500兆円にもなります(重複を除いた純計でも200兆円規模)。一般会計よりずっと大きいのに、国民の目には届きにくいため、「国の真の予算が見えにくい」という批判があります。

② 不透明さと「天下り」の温床

特別会計のお金は、国が作った「独立行政法人」や「公益法人」に補助金として流れることが多いです。そこに役人が再就職する(天下り)、あるいはその法人を通じて不必要な公共事業(誰も使わない道路や施設など)を継続するための資金源になっていると指摘されてきました。

③ チェックが甘い

一般会計は国会で厳しく議論されますが、特別会計は仕組みが複雑すぎて、政治家ですら全容を把握するのが困難です。そのため、役所が自分たちの裁量で使いやすい「既得権益」になりやすいのです。

④ 資金の「使い回し」

ある特別会計で余ったお金(剰余金)を、本来の目的ではない別の場所へ回したり、一般会計の赤字を穴埋めするために使ったりする「どんぶり勘定」的な側面があります。


3. 歴史的な背景:石井紘基(いしい こうき)氏の追及

この特別会計問題を命がけで追及したのが、政治家の石井紘基氏です。彼は膨大な資料を調べ上げ、特別会計こそが「日本を食いつぶす利権の根源」であると主張しました。

彼は「日本には、国民から見える『第1の政府』のほかに、役人が利権を操る『第2の政府』がある」と表現しました。この構造を壊そうと奔走していた矢先、彼は2002年に刺殺されるという悲劇的な最期を遂げました。


4. 現在はどうなっているのか?

かつては30以上あった特別会計ですが、小泉政権や民主党政権時代の「事業仕分け」などを経て、現在は13まで統合・整理されました。

  • 以前よりは透明性が上がったと言われていますが、依然として年金・医療・介護などの社会保障費や、国債(借金)の返済に関わる巨大な金額がここで処理されており、国民にとっての監視は不可欠な状態です。

5. これまでの「精神医学」の話題との意外な共通点(例え話)

「脳のシステム」に例えると、理解が深まるかもしれません。

  • 一般会計(意識的な行動):
    「今日はこれを買おう」「明日はあそこに行こう」と、自分で意識して決めて動かすお金です。
  • 特別会計(自律神経やホルモン系):
    心臓を動かす、消化する、ホルモンを出すといった、意識の下で勝手に動いている巨大なシステムです。

「特別会計問題」とは:
この「勝手に動いているシステム(自律神経)」が暴走して、あなたが知らないうちに「脳のエネルギー(税金)」を勝手に使い込み、本来必要のない場所に栄養を送り続け、脳全体を疲れさせてしまっているような状態……と言えるかもしれません。

まとめ

特別会計問題の本質は、「国民が知らないところで、役所が自分たちの都合の良いように巨大な予算をコントロールできてしまう不透明な構造」にあります。

私たちが納める税金や保険料が、本当に必要な「福祉」や「未来への投資」に使われているのか、それとも「仕組みを守るためだけ」に使われているのかを監視し続けることが、この問題の解決には不可欠です。

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