弱者攻撃と社会的不安

社会心理学データ


1.弱者攻撃と社会的不安

研究では、経済的不安や社会的流動性の低下が高まると、

・排外主義
・スケープゴート化
・弱者への敵意

が増大することが確認されている。

例えば、

  • 社会的支配志向(SDO)理論
  • システム正当化理論

は、格差社会において「弱者は弱者であるべきだ」という認知が強まることを示す。


2.優越感と攻撃性

社会的比較理論では、人は自尊感情を維持するために下方比較を行う。

つまり、

自分より下の存在を確認することで安心する。

このとき、弱者は心理的資源として利用される。

しかし長期研究では、
攻撃的比較は集団内信頼を低下させ、協力行動を減少させることが示されている。


3.利他性の進化的安定性

進化ゲーム理論では、

・協力戦略
・互恵的利他
・評判システム

が存在するとき、集団は安定しやすい。

逆に、

・裏切り
・搾取
・弱者排除

が常態化すると、集団崩壊確率は上昇する。

実験経済学(公共財ゲームなど)でも、

協力文化のある集団は長期的成果が高い

ことが繰り返し確認されている。


4.神経科学的知見

神経科学では、

・共感ネットワーク
・ミラーニューロン系
・前頭前野による衝動抑制

が利他行動に関与することが示されている。

弱者攻撃は扁桃体反応と報酬系の短期活性化を伴うが、
持続的幸福感とは相関しない。

つまり、

即時報酬と長期安定は神経的にも分離している。


5.結論

データが示すのは次のことだ。

・利他性は集団存続に資する
・弱者攻撃は短期的報酬をもたらす
・しかし長期的には協力構造を損なう

「DNA主義 vs 脳主義」の対比は、
進化合理性と短期神経報酬の対立として再定式化できる。

文明の持続可能性は、
どちらの回路を優位にするかに依存している。

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