白癬菌(皮膚糸状菌)に対しても、薬剤耐性のリスクは存在します。ただし、細菌(例:MRSAなど)ほど急速・深刻に耐性菌が蔓延しているわけではありません。
白癬菌における耐性の現状:
■ 現在主に使われている薬:
- 抗真菌外用薬(例:テルビナフィン、ラノコナゾール、ルリコナゾールなど)
- 内服抗真菌薬(例:イトラコナゾール、テルビナフィン)
■ 耐性の可能性が指摘されている例:
- テルビナフィン耐性白癬菌(Trichophyton rubrum, Trichophyton mentagrophytes):
特にインドや欧州で報告が増加しており、**SQLE遺伝子変異(スクアレンエポキシダーゼ)**により、テルビナフィンへの耐性が生じています。 - 日本でもテルビナフィンへの反応が悪い白癬症例が報告されることがありますが、広範な耐性株の流行は今のところ限定的とされています。
耐性が生じる要因:
- 不十分な使用(短期間でやめてしまう)
- 間違った塗布(塗る量が少ない・範囲が狭い)
- 内服薬の服用期間の不足
- 繰り返し同じ薬を使うことによる選択圧
臨床的な注意点:
- 治療反応が乏しい場合は、耐性や他の疾患(乾癬など)との鑑別が必要
- 適切な検体採取と真菌検査(KOH直接鏡検・培養)が重要
- 再発を防ぐためにも、医師の指示に従って十分な期間の治療を行うことが大切
まとめ:
項目 | 内容 |
---|---|
耐性の有無 | 一部の抗真菌薬に対する耐性菌が存在する |
主な耐性菌 | テルビナフィン耐性Trichophyton rubrum など |
日本での状況 | 現時点では限定的、だが注意は必要 |
予防策 | 適切な用法・用量・期間を守ること |