Intelligence Reframed: Multiple Intelligences for the 21st Century(知能を捉えなおす:21世紀のための多重知能)

ハワード・ガードナー著『Intelligence Reframed: Multiple Intelligences for the 21st Century(知能を捉えなおす:21世紀のための多重知能)』の要約です:


✅ 全体の要約(第1~2章中心)

  1. 知能の歴史的概念の変遷
    • 各社会には理想の人間像があり、古代ギリシャや中国、イスラムなどで異なる特徴が理想とされた。
    • 近代西洋では、「知的な人」が理想とされるようになり、古典教育や商才、帝国的実務能力などが求められた。
  2. 現代の知的理想像
    • 現代社会では「シンボル・アナリスト(記号解析者)」と「変化の達人」が評価される。
    • 複雑なデータ処理や、柔軟な適応力、弱い絆の形成などが重視されるようになった。
  3. 知能測定の歴史
    • フランシス・ゴルトンが感覚能力で測定を試み、ビネが実践的知能テスト(学校適応の予測)を確立。
    • その後、IQという概念が登場し、アメリカで大規模に制度化(ターマン、ヤーキーズなど)。
  4. 知能を巡る三つの重要な問い
    • ①知能は単一か多元か?:Spearmanなどは単一因子(g因子)を主張、ThurstoneやGuilfordは多元性を主張。
    • ②知能は遺伝か環境か?:双生児研究などから遺伝の影響も示されるが、文化的要因を重視する声も根強い。
    • ③知能テストは偏っていないか?:初期のテストは文化バイアスが顕著で、現在も測定状況自体の偏りが問題視されている。
  5. 『ベル・カーブ』(1994年)の批判
    • IQは遺伝的で、社会問題の多くは低知能層の行動に起因すると主張。
    • 差別的示唆とされ、多くの学者・メディアから批判を受けた(特に人種間IQ格差の遺伝的決定論への暗黙の誘導)。
  6. 『エモーショナル・インテリジェンス』(1995年)との対比
    • 感情知能の重要性を強調し、希望に満ちた実践的メッセージが広く受け入れられた。
    • IQ至上主義へのアンチテーゼとして機能し、教育・福祉関係者などに支持された。
  7. ガードナーの基本的立場
    • 「知能は一つではない」。言語的、論理数学的、音楽的、身体運動的、対人的、内省的など多元的に存在する。
    • 知能テストだけでは測れない人間の可能性を広く捉える必要がある。
    • 知能の使い方には倫理性や社会的責任が伴うべきである。

📚 本書の構成(抜粋)

  • 第2章:伝統的知能観の批判と心理測定学の略史
  • 第3章:多重知能理論の紹介
  • 第4-5章:新たな知能の可能性(自然、霊性、実存、道徳)
  • 第6-7章:理論への批判と誤解への反論
  • 第8章:知能、創造性、リーダーシップの関係
  • 第9-11章:教育や社会への応用
  • 第12章:知能の所有は誰に帰属するか?という問い

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