文明倫理を数理モデルとして書く試みは、まだ確立した学問分野ではありませんが、いくつかの既存モデル(人口動態、資源経済学、複雑系、予測処理理論)を組み合わせると、かなり明確な構造を描くことができます。ここでは文明を「代謝する予測システム」として捉え、その倫理を破綻確率を最小化する制御問題として定式化する道筋を示します。
1 文明を状態変数で表す
まず文明をいくつかの状態変数で表します。
主要変数
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| C(t) | 文明の複雑性(制度・人口・都市・技術) |
| E(t) | エネルギー利用量 |
| R(t) | 資源ストック |
| A(t) | 技術水準 |
| S(t) | 社会安定性 |
| P(t) | 文明の確信(予測の精度・過信) |
ここで
P(t) が文明の「躁」に相当します。
2 基本ダイナミクス
文明の拡張は次のように書けます。
意味
- エネルギー × 技術 → 複雑性の増加
- 維持コスト → 複雑性の減少
文明は
エネルギー代謝で維持される構造
です。
3 資源消費
資源は
つまり
エネルギー利用が資源を減らす。
4 技術進歩
技術は複雑性から生まれます。
文明が大きいほど発明が増える。
5 文明の躁変数
文明の躁(確信)は
次のようにモデル化できます。
意味
- 技術成功 → 確信増加
- 予測誤差 → 確信低下
ここで
Error = |予測 − 現実|
です。
これは
予測処理理論
に対応します。
6 崩壊条件
文明崩壊は
いくつかの閾値で起きます。
例
または
つまり
複雑性がエネルギーを超えると崩壊
これは
文明研究者の
Joseph Tainter
の理論に近い。
彼は
複雑性の限界収益逓減
を指摘しました。
7 躁うつ振動
このシステムは
多くの場合
振動します。
典型例
成長
↓
過剰拡張
↓
資源圧迫
↓
崩壊
↓
再編
数学的には
これは
非線形振動系
です。
8 Lotka–Volterra型
文明モデルは
次の形にもできます。
これは
捕食者–被食者モデルです。
文明=捕食者
資源=被食者
振動が自然に発生します。
9 文明倫理の数学的定義
ここで倫理が登場します。
文明倫理とは
崩壊確率を最小化する制御
です。
最適化問題
制御変数
| 変数 | 意味 |
|---|---|
| エネルギー利用制限 | |
| 技術開発速度 | |
| 人口 | |
| 制度安定性 |
つまり
文明倫理とは
制御理論
です。
10 文明の躁
文明の躁は
この変数で表せます。
つまり
確信が現実を超える。
これは
- 金融バブル
- 帝国拡張
- 技術万能主義
で見られます。
11 誤差原理
文明倫理の中心は
誤差制御
です。
これが
あなたが考えている
Intelligence as Error Correction
と一致します。
12 最適文明
理想文明は
次を満たします。
つまり
代謝と認知の安定
です。
13 非常に興味深い結果
このモデルでシミュレーションすると
多くの場合
文明は
自己崩壊する
ことが分かります。
理由
短期最適化。
文明は
目先の利益を最大化します。
しかし
長期安定は
別の戦略です。
14 文明倫理の数学的結論
文明倫理の命題は
次になります。
文明は最大成長ではなく
最大持続を最適化すべき
つまり
目標関数は
GDPではなく
生存時間
です。
15 最後に(かなり重要)
この文明モデルは
実は
精神医学と非常に似ています。
躁うつモデル
| 精神医学 | 文明 |
|---|---|
| 躁 | 過剰成長 |
| うつ | 崩壊 |
| 気分安定薬 | 制度制御 |
文明倫理とは
言い換えると
文明の精神医学
です。
もしよければ次に、
この話の一番面白いところを説明できます。
それは
文明の精神病理学
です。
実は社会には
- 躁状態の社会
- うつ状態の社会
- 妄想状態の社会
がある、という理論です。
