事例概念化(ケース・コンセプチュアライゼーション)の主要な構成要素は4つあり、これらは治療的介入の計画と実施のための基礎を提供します。これらの構成要素は、診断的、臨床的、文化的、および治療フォーミュレーションです。
事例概念化の4つの構成要素
事例概念化の各構成要素は、クライアントの全体像を把握し、治療の「青写真」を作成するために、異なる役割を果たします。
| 構成要素 | 説明 | 答える質問 |
|---|---|---|
| 1. 診断的フォーミュレーション | クライアントの現在の状況、およびその状況を永続化させる要因、トリガーとなる要因、さらに基本的なパーソナリティパターンの記述を提供します。通常、DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版』)診断が含まれます。 | 「何が起こったのか?」 |
| 2. 臨床的フォーミュレーション | クライアントの不適応なパターンの説明を提供します。これは、事例概念化の中心的な構成要素であり、診断的フォーミュレーションと治療フォーミュレーションを結びつけます。 | 「なぜ(それは起こったのか)?」 |
| 3. 文化的フォーミュレーション | クライアントの状況に関する社会的および文化的要因の分析を提供します。これには、文化的アイデンティティ、文化変容のレベルとストレス、説明モデル、および文化的力動とパーソナリティ力動の混合を指定することが含まれます。 | 「文化はどのような役割を果たしているのか?」 |
| 4. 治療フォーミュレーション | 介入計画のための明示的な青写真を提供します。これは、診断的、臨床的、および文化的フォーミュレーションの論理的な拡張です。これには、治療目標、焦点、戦略、および具体的な介入が含まれ、それらの目標を達成する際の課題と障害を予測します。 | 「それはどのように変えられるか?」 |
構成要素と要素の関係
これら4つの主要な構成要素は、さらに具体的な要素から構成されています。
例えば、診断的フォーミュレーションは、「プレゼンテーション(主訴)」「促進要因(Precipitant)」「パターン:不適応」の要素から成ります。全体として、ソースでは事例概念化には合計18の構成要素と要素が存在することが示されています。
臨床的に有用な事例概念化(高レベルのケース・コンセプチュアライゼーション)は、これら4つのフォーミュレーションの質問すべてに完全に対処し、さらに治療の「障害」(抵抗、転移など)を予測することが特徴です。この包括性によって、介入をクライアントに合わせて**調整(テーラリング)**するための基礎として機能し、高い説明力と予測力を持つことになります。
