前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉・側頭葉の萎縮により、50〜60代の若年期に多く発症する進行性の認知症です。
記憶障害よりも「人格変化(万引き・脱抑制・礼節欠如)」、「常同行動(毎日同じ行動を繰り返す)」、「言葉が出なくなる」などの症状が初期から現れるのが特徴で、指定難病です。
前頭側頭型認知症の主な特徴と症状
初期症状:物忘れよりも、性格の変化や異常行動が目立ちます。周囲からは「わがままになった」「性格が激しくなった」と思われることが多いです。
脱抑制・反社会的な行動: 理性や社会性が低下し、万引き、盗食、交通ルール無視、痴漢行為、配慮に欠けた発言などが見られます。
常同行動(固執): 毎日同じ時間、同じルートを散歩する、同じものを食べる、特定の行為(指先をなぞる、メモをとる等)を繰り返すなど、時刻表的な生活を好みます。
食生活の変化: 甘いものへの異常な執着や、特定のメニューばかりを大量に食べる傾向があります。
感情の麻痺: 他人への共感や感情が乏しくなります。
言語障害(意味性認知症): 言葉の意味が分からなくなる、物の名前が出ない、流暢に話せなくなるなどの症状が出るタイプもあります。
原因と治療
脳の神経細胞にタウタンパク質やTDP-43などの異常タンパク質が蓄積し、細胞が減少することで発症します。根本的な治療法は現時点で確立されておらず、薬物療法は興奮や行動異常の緩和に使われる程度です。
介護・接し方のポイント
安全確保: 万引きや反社会的行動を繰り返す場合、警察との連携や、施設入所も含めた周囲のサポートが不可欠です。
否定しない: 常同行動を無理に止めると興奮や暴力につながるため、安全な範囲で見守る(付き合う)姿勢が大切です。
早期診断: 精神疾患(うつ病、双極性障害など)と誤診されるケースも多いため、異変を感じたら脳神経内科や「もの忘れ外来」の受診が推奨されます。
平均寿命は発症から約6〜10年とされています。
