私は自分の体を、自分の意思で使っているだけだ。援助交際して、何が悪いのか。

「私は自分の体を、自分の意思で使っているだけだ。援助交際して、何が悪いのか。」と女子高生に言われたとして、どう説明しますか。 ・未成年だから。 ・男性優位主義社会での犠牲者だから。 ・セックスを金銭で売ることは資本主義的な毒に侵されているから。 それぞれについて解説し、さらに解決があったら、考えてください。


とてもまっとうで、しかも手強い問いですね。
「私は自分の体を、自分の意思で使っているだけだ」という言葉には、主体性・自由・尊厳がきちんと含まれている。だからこそ、こちらも雑に否定すると、かえって暴力になります。

以下では、あなたが挙げた三つの説明をそれぞれ独立した論点として丁寧に解説し、そのうえで「では、どういう解決が考えられるのか」を考えてみます。


①「未成年だから」――これは道徳ではなく、責任の問題

まず最初に言えるのは、

「悪い/良い」の話ではなく、「守られるべき立場かどうか」の話だ

ということです。

未成年であるということは、

  • 判断力が未熟だと「決めつけられている」からではなく
  • 取り返しのつかない結果に対する責任を、本人一人に負わせないため

に、社会が「同意能力」を制限している、ということです。

重要なのはここです。

  • あなたが「自分の意思で決めている」と感じていること
  • それ自体は否定されていない
  • ただし社会は、その決断の結果(身体的・心理的・社会的損傷)を、あなた一人に引き受けさせないと決めている

これは「能力否定」ではなく、責任の所在の調整です。

だから説明はこうなります。

「あなたの考えは分かる。でも社会は、“もし傷ついたとき、それを誰が引き受けるか”という点で、まだ大人に責任を集中させている」

この立場の限界

  • 本人の納得感は得にくい
  • 「大人はズルい」「管理されている」という反発を生む

つまり、これだけでは説明として弱い


②「男性優位主義社会の犠牲者だから」――これは“あなたのせいではない”という話

この説明が難しいのは、言い方を誤ると、

「あなたは洗脳されている」
「主体性がない」

という侮辱になってしまう点です。

本来言いたいのは、そうではありません。

ポイントはここです。

  • 選択は「自由に見える」
  • しかし、選択肢が最初から不均等に配置されている

たとえば、

  • 若い女性の「価値」が性的魅力として過剰に評価され
  • 男性側は、金・年齢・社会的立場を武器にできる
  • この非対称性が、取引の形を取って現れている

重要なのは、

「あなたが弱いから」ではなく、「構造がそう作られている」

という点です。

だから説明はこう言い換えられます。

「あなたが自分で選んでいることは事実だ。でも、その“選びやすさ”自体が、男女で不公平に設計されている」

この立場の限界

  • 本人は「今、困っていない」と感じている
  • 抽象的で、説教に聞こえやすい
  • 「じゃあ私はどうすればいいの?」に答えにくい

③「セックスを金銭で売ることは、資本主義の毒だから」――これは一番深く、でも一番伝わりにくい

これは倫理の話ではなく、変質の話です。

資本主義の特徴は、

  • すべてを「交換可能な価値」に変えること
  • 本来は人格や関係に属するものまで、商品化すること

セックスが問題なのではありません。

問題は、

  • 「拒否する自由」
  • 「曖昧でいられる自由」
  • 「途中で気が変わる自由」

これらが、金銭契約によって徐々に侵食されることです。

最初はこう感じるかもしれません。

「嫌なら断れる」
「条件は自分で決めている」

しかし、繰り返されると、

  • お金を受け取った以上、断りにくくなる
  • 自分の感覚より「対価」が優先される
  • 体験が“記憶”ではなく“取引履歴”になる

つまり、

主体性を守るために始めた行為が、主体性をすり減らす

この逆説が、ここで言う「毒」です。

この立場の限界

  • 今は実感できない
  • 後になってしか分からない
  • だからこそ、若い人には「大人の脅し」に見える

では、解決はあるのか?

正直に言うと、完璧な解決はありません
でも、現実的に考えられる方向はあります。

①「やめさせる」より「孤立させない」

一番危険なのは、

  • 誰にも話せない
  • 批判されるだけ
  • 逃げ場がない

という状態です。

「何をしてもいい」ではなく、「何があっても戻れる」

場所と関係を残すこと。


②「選択」を否定せず、「選択肢」を増やす

問題は「選んだこと」ではなく、

  • それ以外の現実的な選択肢がどれだけあるか

学業、居場所、相談先、金銭的支援、承認の別ルート。
選択肢が増えれば、主体性はむしろ強くなる。


③ 大人側が「需要」を正当化しない

これは本人ではなく、社会の側の課題です。

  • 「自己責任だから」
  • 「合意だから」
  • 「ビジネスだから」

こうした言葉で、力の非対称性を見ないこと
大人がそこを引き受けない限り、構造は変わりません。


最後に、女子高生にそのまま返すとしたら

たぶん、こう言うのが限界だと思います。

「あなたが自分で考えて決めていることは、私は否定しない。
ただ、あなたが傷ついたとき、それを“自己責任”で片づけてしまう社会の側には、私は賛成できない」

これは説得ではありません。
同意でも、否定でもなく、関係を切らないための言葉です。

この問いは、彼女だけの問題ではなく、
どんな社会で、どんな主体を守りたいのかという問いでもあるのだと思います。

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