素因-ストレスモデルの基本思想は、特定の環境条件(ストレス)に遭遇した際に疾患を発症しやすい生物学的弱点(素因)がある場合に、疾患を発症するという考えに基づいています。
これは、異常性に関するさまざまなモデル(医学的、心理学的、社会文化的)を統合しようとする試みの一つです。
このモデルの主要な考え方は以下の通りです。
- 素因(Diathesis/生物学的弱点): 個人が生まれつき持っている、特定の疾患にかかりやすい遺伝的または生物学的な弱さです。
- ストレス(Stress/環境条件): ストレスの多い環境条件や出来事です。
このモデルによれば、素因を持つ人々であっても、特にストレスの多い環境条件を経験しない限り、例えば統合失調症などの疾患を発症しないと考えられています。
素因-ストレスアプローチは、ある種の癌の発症を説明する際にも用いられ、癌もまた、生物学的素因と特定の環境条件が組み合わさって発症すると考えられています。
このモデルは、単一の異常行動には複数の原因がある可能性が高いという認識を反映しており、単一のモデルですべての障害を説明できる可能性は低いという見解に基づいています。
