ご提示いただいた資料に基づき、ガエミ氏が推奨する「自ら主治医になるためのムード・チャート」の具体例と、今日から使えるテンプレートを作成しました。
このチャートの肝は、「気分の波」と「睡眠時間」の相関関係を可視化することにあります。
1. ムード・チャートの記入例
以下は、ある患者さんの1週間の記録をイメージした例です。
| 日付 | 気分 (-3〜+3) | 睡眠時間 | 薬の変更 | ライフイベント・メモ | 備考(波の分析) |
|---|---|---|---|---|---|
| 4/1 (月) | 0 | 7h | 変更なし | 仕事でミス、上司に叱責 | 凹むが引きずらず。安定。 |
| 4/2 (火) | +1 | 5h | 変更なし | 夜遅くまでネット通販 | 要注意: 睡眠が減り始めた。 |
| 4/3 (水) | +2 | 3h | 変更なし | 新プロジェクト立案、徹夜気味 | 警告: 軽躁のサイン。活動過多。 |
| 4/4 (木) | -1 | 4h | 頓服服用 | イライラが止まらない | 混合状態の疑い: 気分は低いが脳が回転。 |
| 4/5 (金) | -2 | 9h | 変更なし | 一日中体が重い、欠勤 | 波の底。無理せず休養。 |
| 4/6 (土) | -1 | 8h | 変更なし | 午後から散歩(光を浴びる) | アンカー(散歩)を実行。 |
| 4/7 (日) | 0 | 7h | 変更なし | 読書、早めに就寝 | 安定。睡眠を確保できた。 |
2. ムード・チャート用テンプレート(コピーして使えます)
手帳やエクセル、スマートフォンのメモ帳などに貼り付けてお使いください。
【基本項目】
- 気分スコア:
- +3: 躁(万能感、不眠不休、浪費、多弁)
- +2: 軽躁(絶好調、自信満々、活動的、怒りっぽい)
- +1: やや高い(活動的、前向き)
- ** 0:** 安定(フラット、平穏)
- -1: やや低い(少し憂鬱、疲れやすい)
- -2: うつ(絶望感、意欲低下、体が重い、思考停止)
- -3: 重いうつ(希死念慮、全く動けない)
【記入シート】
| 日付 | 気分 (-3〜+3) | 睡眠時間 | 薬 | ライフイベント・メモ |
|---|---|---|---|---|
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h | |||
| / ( ) | h |
3. チャートを使いこなすための3つのポイント
資料にあるガエミ氏の教えを反映した、運用のコツです。
- 「睡眠の減少」は赤信号
気分が「+2(軽躁)」になる前に、まず睡眠時間が短くなることが多いです。睡眠が減ってきたら「あえて刺激を避ける(パーティーや深夜のネットをやめる)」という対策を先回りして打ちましょう。 - 「混合状態」に注意を払う
「気分はどん底(-2)」なのに「頭が冴えてイライラする、眠れない」という状態は、資料にある通り非常に危険な状態です。このパターンが見えたら、すぐに主治医にチャートを見せて相談してください。 - 「アンカー」を書き込む
資料にある「毎日必ず同じ時間に外に出て光を浴びる」という行動ができたかどうかをメモ欄にチェック(例:散歩◯)として入れるのも効果的です。これが「非薬物的な防波堤」になります。
このチャートを数ヶ月続けることで、資料にある通り「これはいつもの波の底だ」と客観視できるようになり、気分の嵐に巻き込まれずに人生の舵を握る(脳の航海図)ことができるようになります。
さらに改善し、「生活リズム(サーカディアンリズム)」をより精密に可視化できる改善版テンプレートを作成しました。
起床、接触、運動、仕事開始、夕食、就寝という項目を追加することで、資料にある「アンカー(錨)」が正しく打てているか、リズムが崩れる予兆はないかをより正確に把握できるようになります。
1. 【改善版】ムード・チャート・テンプレート(週間・詳細版)
この表は、横に長い場合はスマートフォンを横向きにするか、エクセル等に貼り付けて活用してください。
| 日付 | 気分 (-3~+3) | 睡眠 (計/h) | 起床 / 就寝 | 最初の人接触 | 運動 (AM/昼) | 仕事開始 | 夕食 | 薬 / ライフイベント / 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : | |||
| / ( ) | : / : | : | □有/ □無 | : | : |
2. 記入の具体例(イメージ)
このように記入することで、気分と生活行動のズレがひと目で分かります。
- 4/3 (水)
- 気分: +2(軽躁ぎみ)
- 睡眠: 4h(3:00就寝 / 7:00起床)
- 最初の人接触: 8:30(コンビニ店員)
- 運動: 無
- 仕事開始: 9:00
- 夕食: 23:00(遅い)
- 備考: 仕事がノリすぎて夕食が遅れ、興奮して寝付けず。(←これが「波」の予兆)
3. このテンプレートで「波」を防ぐためのチェックポイント
資料にある「脳の航海図」として、以下の相関関係をチェックしてください。
- 「最初の人接触」の時間(社会的リズム)
毎日決まった時間に人と接触(挨拶程度でも可)することは、脳の時計をリセットする強力なアンカーになります。この時間が大きくズレ始めたら、生活リズムが崩れる予兆です。 - 「運動」の有無
資料にある「積極的リラクゼーション」の一環として、午前〜昼に軽く体を動かせたかを記録します。これができている日は、夜の睡眠の質が上がりやすくなります。 - 「夕食」と「就寝」の相関
夕食の時間が遅くなると、消化活動により睡眠の質が下がり、翌日の気分のスコアに悪影響(うつ転など)を与えるパターンが見つかるかもしれません。 - 「仕事開始」の固定
どんなに気分が乗らなくても、あるいは逆にハイであっても、一定の時間に机に向かう(または外に出る)ことが、資料でいう「アンカー(錨)」の役割を果たします。
この精密な記録によって、「何が自分の波を引き起こすトリガーなのか」、そして「どのアンカー(習慣)が自分を安定させてくれるのか」が、ガエミ氏の言う通り、数ヶ月後には「はるかに正確な情報」として浮かび上がってきます。
ご指摘ありがとうございます。画面上で2行に分かれないよう、項目名をさらに簡潔に整理し、□有 / □無 が一行でスッキリ収まるように調整した【決定版テンプレート】を作成しました。
あわせて、スマートフォン等でコピーしてそのまま入力しやすい「テキスト形式」の記入用フォーマットも用意しました。
1. 【表形式】ムード・チャート(週間・詳細版)
※項目名を短縮し、横幅を抑えて1行に収まりやすくしています。
| 日付 | 気分 -3–+3 | 睡眠 | 起床/就寝 | 初接触 | 30分 運動 | 仕事始 | 夕食 | メモ(薬・イベント) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : | ||
| / ( ) | h | : / : | : | □有/ □無 | : | : |
2. 【テキスト形式】コピー用テンプレート
表形式が崩れてしまう場合や、スマートフォンのメモ帳で管理する場合は、以下の1日分をコピーしてお使いください。
【今日の脳の航海図】
・日付: / ( )
・気分スコア: (-3 〜 +3)
・睡眠時間: 時間( : 就寝 / : 起床)
・最初の人接触: :
・午前/昼の運動: □有 / □無
・仕事開始: :
・夕食: :
・メモ(薬・イベント):
3. このテンプレートの活用ガイド(ガエミ流+アルファ)
新しく追加した項目は、以前お話しした「積極的リラクゼーション」等の要素とも深く関わっています。
- 「運動(□有/□無)」= 積極的リラクゼーション
午前中や昼間に軽く体を動かすことは、単なる体力作りではなく、脳への「今は活動時間だ」という強力な信号になります。これが夜の自然な眠り(自律神経の切り替え)を助けます。 - 「最初の人接触」= 社会的アンカー
ガエミ氏が重視する「アンカー」の一つです。毎日決まった時間に誰かと挨拶や会話をすることで、生体リズムが社会的な時間に同調し、波が安定しやすくなります。 - 「仕事開始」と「夕食」の時間
「何時に何をするか」を固定することは、気分の波に対する「防波堤」になります。特に夕食が遅くなりすぎないことは、睡眠の質を守るために極めて重要です。
このチャートを埋めていくことで、資料にある通り「自分の波の癖を知り、病気に支配されるのではなく、管理する側に回る」ことができるようになります。
