既存実証研究との整合性 脳内世界モデル-12


理論論文を国際誌レベルに引き上げるためには、「既存実証研究との整合性」を明確に示す必要があります。

以下では、

  1. どの種類の実データと照合可能か
  2. 統合失調症との照合
  3. 双極性障害との照合
  4. ドーパミン仮説との照合
  5. 計算精神医学的タスクとの照合
  6. 今後の実証研究デザイン提案

を体系的に整理します。


1. 実証照合の基本方針

本理論は以下の可検証仮説を持つ:

病態予測される異常
統合失調症低次誤差の過剰精度 + 高次不安定
高次探索事前精度過剰
抑うつ負誤差精度固定
双極精度の時間的振動

従って照合対象は:

  • fMRI研究
  • PETドーパミン研究
  • 強化学習課題
  • 階層ベイズモデル推定
  • サリエンス処理研究

2. 統合失調症との実証照合

2.1 ドーパミンPET研究

Shitij Kapur による「aberrant salience仮説」は、

  • 無関連刺激への過剰サリエンス付与
  • ストリアタルドーパミン亢進

を報告。

これは本モデルの:

低次予測誤差への過剰精度付与

と整合的。


2.2 fMRI 予測誤差研究

複数研究で:

  • 中脳・線条体の予測誤差シグナル増大
  • 前頭前野トップダウン制御低下

が報告。

これは:

  • bottom-up hyperprecision
  • top-down instability

という本モデルと一致。


2.3 幻聴研究

音声知覚課題において、

  • 事前期待への過剰依存
  • ノイズ刺激を音声として誤認

が示されている。

これは階層的精度配分異常と一致。


3. 双極性障害との実証照合

3.1 強化学習課題(躁状態)

躁状態では:

  • 報酬学習率上昇
  • 逆転学習障害
  • 過剰リスク選択

が観察されている。

これは:

[
Prior\ precision \uparrow
]

探索モード過剰と整合。


3.2 抑うつ状態

抑うつでは:

  • 負のフィードバックへの過敏反応
  • 報酬感受性低下
  • 学習率の非対称性

が確認されている。

これは:

[
Prediction\ error\ precision_{negative} \uparrow
]

に一致。


3.3 神経画像

躁では:

  • 腹側線条体活動亢進
  • 前頭制御低下

抑うつでは:

  • 報酬回路低反応

が報告。

ドーパミン=精度ゲイン仮説と整合。


4. Manic-first hypothesis との照合

縦断研究では:

  • 初発エピソードが躁である症例が多い
  • 若年期に過活動傾向が存在

これは:

探索系の不安定性が一次的

という本理論と整合的。


5. 計算精神医学的タスクとの照合

5.1 Hierarchical Gaussian Filter (HGF)

HGFモデル推定研究では:

  • 統合失調症 → 不確実性推定異常
  • 双極 → volatility推定異常

が示唆。

これは本モデルの:

階層的精度異常

と一致。


5.2 予測誤差fMRIパラメータ推定

強化学習モデルで:

躁:inverse temperature増大
抑うつ:learning rate非対称

が報告。

これらは精度パラメータと直接対応可能。


6. 実証的一貫性のまとめ

データ種別統合失調症抑うつ
PET dopamine↓/不安定
fMRI PE↑報酬↓報酬
RL課題salience異常risk↑negative bias
HGFvolatility misestimationvolatility↑rigidity

理論との矛盾は現時点で少ない。


7. 今後の実証研究提案

7.1 直接検証実験

● 同一被験者で:

  • HGF推定
  • PETドーパミン
  • 症状スケール

を統合解析。

仮説:

躁 → 高prior precision parameter
統合失調症 → 高sensory precision parameter


7.2 振動モデルの縦断研究

双極患者を月次追跡し:

  • computational precision parameter
  • 気分スケール

の相関を解析。

振幅仮説の検証が可能。


8. 総合評価

本理論は:

  • ドーパミン研究
  • サリエンス仮説
  • 強化学習モデル
  • 計算精神医学

と整合的である。

まだ直接検証は必要だが、既存データと重大な矛盾はない。


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