質問をこんな風にしたら、どうですか。
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基本的なことですが、 関数と微分を並べると
x^2 2x
x 1
logx 1/x x^0 の微分はちょっと困る
x^-1 -1/x^2
などとなり、
log x の微分が 1/x というところだけ、すんなり並んでいません。
関数と 積分で並べると、
x^2 (1/3)*x^3
x^1 (1/2)x^2
x^0 x^1
x^-1 logx →x^0 としたくなるが、そうではない
x^-2 x^-1
一般に x^n を積分すると (1/n+1)x^(n+1) +C ですが、
n=-1のときは うまくいかない
0で割り算している
x^-1 の積分だから、係数はともかくとして、x^0になるはずだけど、
そうすると、x^0 を微分したとき、1 になって、微分と積分で逆関数になっていない。
うまく極限を考えればいいらしい
「x^0 に限りなく近いけれど、定数ではない(わずかに動いている)関数」として log x を考えるというらしい
直観的に分かりやすい説明はありますか。
ご提示いただいた「関数と微分の対照表」と「関数と積分の対照表」、非常に整理されていて分かりやすいです。
まさに、「$n = -1$ のときに $1/(n+1)$ が $1/0$ になって爆発してしまう」 という問題こそが、数学者が長年向き合ってきたポイントです。
これを「極限」を使って直観的に説明すると、「$\log x$ は、べき乗($x^n$)たちが極限まで追い詰められた時に見せる『最後の姿』である」 という物語が見えてきます。
1. 「$x^0$ になりたい、でもなれない」ジレンマ
積分のルールに従うと、次のような期待を持ちますよね。
- $x^1$ の積分は $x^2$ 系
- $x^0$ の積分は $x^1$ 系
- $x^{-1}$ の積分は $x^0$ 系(つまり定数)であってほしい!
しかし、積分して「ただの定数($x^0$)」になってしまうと、微分したときに $0$ になってしまい、$x^{-1}$($1/x$)に戻ることができません。
ここで、「$x^0$ に限りなく近いけれど、定数ではない(わずかに動いている)関数」が必要になります。それが $\log x$ です。
2. 「0で割る」を回避する魔法の式
ここで、おっしゃる通りの「うまく極限を考える」方法を試してみましょう。
単なる $\frac{x^n}{n}$ だと $n \to 0$ で無限に飛んでしまいますが、グラフの位置を調整して、「$n$ を限りなく 0 に近づけた時の $x^n$ の振る舞い」をあぶり出す式を作ります。
$$f_n(x) = \frac{x^n – 1}{n}$$
この式の意味を考えてみます。
- $-1$ する理由: 全てのグラフが必ず点 $(1, 0)$ を通るように高さを調整します。
- $n$ で割る理由: $n$ が 0 に近づくと分子も 0 に近づくので、「0/0」の形にして、その「変化の割合」だけを抽出します。
この $f_n(x)$ を $n = 0.1, 0.01, 0.001 \dots$ と計算していくと、グラフの形がどんどん $\log x$ に重なっていきます。
つまり、「$\log x$ とは、$x^{0.00000\dots1}$ という、限りなく 1 に近い累乗から『定数の成分』を差し引いて、引き伸ばしたもの」だと言えるのです。
3. 直観的なイメージ:バネの引き伸ばし
次のようにイメージしてみてください。
- $x^2, x^1, x^{0.1}, x^{0.01} \dots$ と、べき指数を 0 に近づけていくと、グラフはどんどん寝ていき、最終的には真横の直線($y=1$)にペチャンコに潰れてしまうように見えます。
- しかし、この「潰れる寸前」のグラフを、拡大鏡($1/n$ 倍)で垂直方向にめちゃくちゃに引き伸ばしてやると、そこにはまだ「傾き」が残っています。
- その、ペチャンコに潰れる寸前の形を無理やり引き伸ばして救い出したものが、$\log x$ なのです。
4. なぜ微分が /x$ なのか
この「引き伸ばされた $x^n$」を微分してみましょう。
$f_n(x) = \frac{x^n – 1}{n}$ を微分すると($n$ は定数として扱うと)、
$f_n'(x) = \frac{n x^{n-1}}{n} = x^{n-1}$ となります。
ここで $n$ を限りなく 0 に近づけると…
$$x^{0-1} = x^{-1} = \frac{1}{x}$$
見事に $1/x$ が出てきました!
まとめ
「$x^n$ の積分」という階段を降りていくと、$n=-1$ のところで階段が壊れて($1/0$ になって)奈落の底に落ちそうになります。
しかし、その壊れた階段のすぐそばを、「べき乗の極限としての $\log x$」というスロープが並走して支えているのです。
- 微分で見ると: $x^n$ を微分すると次数が下がるが、$\log x$ は「$x^0$ の一歩手前」を代表して $x^{-1}$ になる。
- 積分で見ると: $1/(n+1)$ が計算できない「特異点」において、$\log x$ が身代わりとして現れる。
このように考えると、$\log x$ だけが並びを乱しているのではなく、「べき乗のルールが限界(0で割る)を迎えたときに、裏から現れる真の姿」であるという、非常にドラマチックなつながりが見えてきます。
