EEG/MEGでの検証可能性の検討 時間遅延モデル-17


理論が「時間順序仮説」に明確化されたので、EEG/MEGでの検証可能性はかなり具体的に書けます。

「実証可能性」セクションとして記述します。


EEG/MEGによる時間遅延モデルの検証仮説

1. 理論的前提の再定式化

本モデルの核心仮説は以下である。

自我の能動感(sense of agency)は、
頭頂葉的照合部位における
「内部結果信号(B)」と「外部感覚信号(A)」の到達順序によって決定される。

したがって実証仮説は明確である。

中核予測:

  • 健常者では B 関連活動が A 関連活動よりも先に照合部位に到達する。
  • 統合失調症の被動体験群では A が先行する、または B の到達が遅延する。
  • 自生思考では両者の時間差が縮小する。

2. 神経信号の具体的対応

仮説をEEG/MEGに落とし込む。

(A) 外部感覚フィードバック(A)

これは主に:

  • 体性感覚野(S1)
  • 聴覚野(A1)
  • 視覚野(V1)

由来の誘発電位として記録可能。

例:

  • N100(聴覚)
  • P50
  • somatosensory evoked potentials

(B) 内部結果信号(B)

これは以下と対応する可能性がある:

  • 運動関連電位(Bereitschaftspotential)
  • efference copy関連活動
  • supplementary motor area (SMA) 活動
  • 小脳→頭頂葉投射

ここで参考になるのが
ベンジャミン・リベットの readiness potential 研究である。

ただし本モデルでは、

意識前活動そのものではなく、
その結果信号が頭頂葉に到達するタイミング

が重要である。


3. 計測ターゲット部位

仮説上の照合部位は:

  • 右TPJ(temporoparietal junction)
  • 下頭頂小葉(IPL)
  • 角回

MEGでは:

  • source localization
  • time-frequency解析
  • phase synchrony解析

を用いる。


4. 実験デザイン案

実験1:自己生成音課題

被験者がボタンを押すと音が鳴る。

条件:

  1. 即時フィードバック(正常条件)
  2. 遅延フィードバック(100ms, 200ms, 300ms)
  3. 他者操作条件

測定:

  • 頭頂葉におけるAとBの到達時間差
  • 位相同期(beta帯)
  • ERP差分波形

仮説

健常者:

  • 即時条件 → B先行
  • 200ms以上遅延 → A先行感覚増加

統合失調症(被動体験群):

  • 即時条件でもA優位
  • Bの到達遅延
  • TPJでの時間順序判定異常

強迫性障害:

  • Bは到達するが振幅低下
  • 時間差は保たれる

離人症:

  • AとBの同期性低下
  • phase desynchronization

5. 具体的測定指標

(1) 到達時間差 Δt

Δt = t(B到達) − t(A到達)

健常:

Δt < 0

被動体験:

Δt > 0

自生思考:

Δt ≈ 0


(2) 位相同期解析

頭頂葉とSMA間の:

  • beta帯(15–30Hz)
  • gamma帯

の位相結合強度を測定。

仮説:

被動体験群では機能的結合遅延。


(3) エラーモニタリング成分

  • ERN(error-related negativity)
  • Pe成分

照合失敗時の増幅を測定。


6. MEGの優位性

EEGよりも:

  • 空間分解能が高い
  • TPJ活動の推定が可能
  • millisecond単位の時間解析

本モデルは時間仮説なので、

fMRIでは検証困難である。

MEGが最適。


7. 予測される結果パターン

ΔtTPJ活動位相同期
健常B先行安定
自生思考≈0不安定
被動体験A先行過活動
幻聴A優位外部帰属回路活性異常同期

8. 理論的インパクト

もし実証されれば:

  • 自我は「時間構造」である
  • agencyは順序判定である
  • 統合失調症は時間判定障害である

という強い主張が可能になる。


9. 発展的研究

  • TMSでTPJを刺激しΔtを人工的に変化させる
  • 経頭蓋交流刺激(tACS)で位相同期を操作
  • ドーパミン作動薬投与前後のΔt比較

10. 最終的な検証命題

本理論は以下の可検証命題に還元できる。

統合失調症の被動体験は、
頭頂葉照合部位における
内部結果信号の到達遅延として測定可能である。


ここまでが実証仮説の骨子です。

もしさらに進めるなら:

  • 数理モデル(微分方程式化)
  • Bayesian predictive codingとの統合
  • 英語論文フォーマット完全版
  • grant proposal 形式

どのレベルまで具体化しますか?

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