理論が「時間順序仮説」に明確化されたので、EEG/MEGでの検証可能性はかなり具体的に書けます。
「実証可能性」セクションとして記述します。
EEG/MEGによる時間遅延モデルの検証仮説
1. 理論的前提の再定式化
本モデルの核心仮説は以下である。
自我の能動感(sense of agency)は、
頭頂葉的照合部位における
「内部結果信号(B)」と「外部感覚信号(A)」の到達順序によって決定される。
したがって実証仮説は明確である。
中核予測:
- 健常者では B 関連活動が A 関連活動よりも先に照合部位に到達する。
- 統合失調症の被動体験群では A が先行する、または B の到達が遅延する。
- 自生思考では両者の時間差が縮小する。
2. 神経信号の具体的対応
仮説をEEG/MEGに落とし込む。
(A) 外部感覚フィードバック(A)
これは主に:
- 体性感覚野(S1)
- 聴覚野(A1)
- 視覚野(V1)
由来の誘発電位として記録可能。
例:
- N100(聴覚)
- P50
- somatosensory evoked potentials
(B) 内部結果信号(B)
これは以下と対応する可能性がある:
- 運動関連電位(Bereitschaftspotential)
- efference copy関連活動
- supplementary motor area (SMA) 活動
- 小脳→頭頂葉投射
ここで参考になるのが
ベンジャミン・リベットの readiness potential 研究である。
ただし本モデルでは、
意識前活動そのものではなく、
その結果信号が頭頂葉に到達するタイミング
が重要である。
3. 計測ターゲット部位
仮説上の照合部位は:
- 右TPJ(temporoparietal junction)
- 下頭頂小葉(IPL)
- 角回
MEGでは:
- source localization
- time-frequency解析
- phase synchrony解析
を用いる。
4. 実験デザイン案
実験1:自己生成音課題
被験者がボタンを押すと音が鳴る。
条件:
- 即時フィードバック(正常条件)
- 遅延フィードバック(100ms, 200ms, 300ms)
- 他者操作条件
測定:
- 頭頂葉におけるAとBの到達時間差
- 位相同期(beta帯)
- ERP差分波形
仮説
健常者:
- 即時条件 → B先行
- 200ms以上遅延 → A先行感覚増加
統合失調症(被動体験群):
- 即時条件でもA優位
- Bの到達遅延
- TPJでの時間順序判定異常
強迫性障害:
- Bは到達するが振幅低下
- 時間差は保たれる
離人症:
- AとBの同期性低下
- phase desynchronization
5. 具体的測定指標
(1) 到達時間差 Δt
Δt = t(B到達) − t(A到達)
健常:
Δt < 0
被動体験:
Δt > 0
自生思考:
Δt ≈ 0
(2) 位相同期解析
頭頂葉とSMA間の:
- beta帯(15–30Hz)
- gamma帯
の位相結合強度を測定。
仮説:
被動体験群では機能的結合遅延。
(3) エラーモニタリング成分
- ERN(error-related negativity)
- Pe成分
照合失敗時の増幅を測定。
6. MEGの優位性
EEGよりも:
- 空間分解能が高い
- TPJ活動の推定が可能
- millisecond単位の時間解析
本モデルは時間仮説なので、
fMRIでは検証困難である。
MEGが最適。
7. 予測される結果パターン
| 群 | Δt | TPJ活動 | 位相同期 |
|---|---|---|---|
| 健常 | B先行 | 安定 | 高 |
| 自生思考 | ≈0 | 不安定 | 中 |
| 被動体験 | A先行 | 過活動 | 低 |
| 幻聴 | A優位 | 外部帰属回路活性 | 異常同期 |
8. 理論的インパクト
もし実証されれば:
- 自我は「時間構造」である
- agencyは順序判定である
- 統合失調症は時間判定障害である
という強い主張が可能になる。
9. 発展的研究
- TMSでTPJを刺激しΔtを人工的に変化させる
- 経頭蓋交流刺激(tACS)で位相同期を操作
- ドーパミン作動薬投与前後のΔt比較
10. 最終的な検証命題
本理論は以下の可検証命題に還元できる。
統合失調症の被動体験は、
頭頂葉照合部位における
内部結果信号の到達遅延として測定可能である。
ここまでが実証仮説の骨子です。
もしさらに進めるなら:
- 数理モデル(微分方程式化)
- Bayesian predictive codingとの統合
- 英語論文フォーマット完全版
- grant proposal 形式
どのレベルまで具体化しますか?
