国家を
情動を抱え、処理し、次世代へ受け渡す装置
と見なします。
Ⅰ.トラウマ国家と教育政策
1.集合的トラウマの継承
トラウマは沈黙しても消えない。
- 歴史教育の語り方
- 記念日
- 教科書の叙述
- 公的謝罪や象徴儀礼
を通じて、無意識に伝達される。
たとえば
World War II
の記憶処理は各国で大きく異なる。
教育は「記憶の編集装置」である。
2.教育政策の三類型
(A)回避型
過去を曖昧化する
→ 表面的安定、長期的不安残存
(B)告発固定型
被害/加害を道徳的に固定
→ 永続的怒りの再生産
(C)統合型
複数視点を提示し、矛盾を抱えさせる
→ 情動耐性を育成
臨床的に言えば、
ナラティブの再構成ができる社会は強い
教育は国家の「長期療法」に近い。
Ⅱ.SNSが治療構造を壊すメカニズム
民主主義が治療的に機能するには:
- 時間遅延
- 熟議
- 複数視点
- 制度的緩衝
が必要。
SNSはこれを逆転させる。
1.即時反応化
怒りが瞬時に拡散する。
2.アルゴリズム的同質化
類似意見が集まり強化される。
3.象徴的処刑
炎上=社会的断罪。
4.可視化された超自我
「いいね」数が道徳評価になる。
結果、
衝動が熟議を上回る。
治療的空間が「感情増幅空間」に変質する。
Ⅲ.なぜ権威主義は安心感を与えるのか
ここが核心です。
不安が高いとき、人は:
- 明確な境界
- 単純な物語
- 強い指導者
- 善悪の明瞭化
を求める。
権威主義は:
- 意味の曖昧さを減らす
- 敵味方を明確化する
- 決断を外部化する
つまり、
不安の外部委託装置
として機能する。
短期的には心理的負荷が減る。
しかし代償は:
- 批判能力の萎縮
- 多様性の排除
- 情動の再爆発
である。
Ⅳ.日本はどの段階にいるか(慎重分析)
断定は避け、傾向のみ述べる。
1.高揚(躁)段階ではない
国家的誇大感は限定的。
2.重度パラノイア段階でもない
制度は機能している。
3.しかし慢性的低強度不安は存在する
- 経済停滞感
- 人口減少
- 国際秩序不安
- SNS炎上文化
日本型超自我(空気中心)は
SNSによって常時可視化されている。
現状は:
低強度の不安と同調圧力が持続する「慢性緊張状態」
と表現できる。
ただし
日本国憲法
の制度枠組みは安定しており、
情動暴走は抑制されている。
Ⅴ.国際政治を情動力学で読む
国際政治は合理的利益だけでは動かない。
重要なのは:
- 屈辱
- 名誉
- 恐怖
- 復讐
- 承認欲求
たとえば:
- United States
- China
- Russia
の関係には、
地政学だけでなく「承認闘争」が含まれる。
国家もまた:
見捨てられ不安
誇大自己
トラウマ再演
を抱えうる。
同盟は安全保障だけでなく、
情動の安定装置
でもある。
Ⅵ.統合理論:国家情動の三層構造
- 過去(トラウマ)
- 現在(不安と承認)
- 未来(物語と希望)
教育は過去を調整し、
民主主義は現在を処理し、
外交は未来の物語を編む。
これらが崩れると、
情動は暴走する。
