重要なのは、「自立感」をどう定義するかです。
自立とは必ずしも
- 単独軍事力
- 核保有
- 完全な自己完結
を意味しません。
情動的に言えば自立感とは:
依存していても、選択していると感じられる状態
です。
ここから論理的に整理します。
Ⅰ.なぜ核が「自立感」と結びつくのか
核は単なる兵器ではなく、
- 最終的抑止力
- 主権の象徴
- 大国性の象徴
として機能します。
たとえば
France
は独自核戦力を「戦略的自律」の象徴と位置づけています。
核は心理的には:
他者に最終判断を委ねないという感覚
を与える。
しかしこれは唯一の道ではありません。
Ⅱ.自立感の三層構造
国家の自立感は三つの層で成立します。
1.軍事的自立
最終的抑止の自己決定性
2.経済的自立
サプライチェーン・技術・エネルギーの安定
3.物語的自立
自国の役割を自ら定義できること
日本が核を持たずに自立感を得るには、
第2層と第3層を強化する
ことが鍵になります。
Ⅲ.方法1:選択的同盟の主体化
日本は
United States
の拡大抑止に依存しています。
依存は必ずしも非自立ではない。
重要なのは:
- 受動的依存か
- 主体的選択か
です。
外交的選択肢を増やす:
- 多国間協力
- 地域枠組み
- 防衛能力の透明な強化
これは
「自ら決めている」という感覚
を強める。
Ⅳ.方法2:非軍事的戦略資源の強化
自立感は軍事だけから生まれない。
日本が持つ潜在的強み:
- 技術基盤
- 経済規模
- 海洋安全保障能力
- 災害対応力
- ソフトパワー
例えば
United Nations
での外交的影響力や
国際協力の制度設計能力。
これらは:
「不可欠な存在」という承認
を生む。
承認は自立感の重要な源泉。
Ⅴ.方法3:象徴資源の再活用
日本は被爆国である。
これは弱さではなく、
核時代の倫理的象徴資源
になり得る。
被爆体験は、
- 核抑止の危険性を語る正当性
- 国際的道義的影響力
を持つ。
核を持たずに影響力を持つことは、
別種の自立感を生む。
Ⅵ.方法4:国内情動の安定化
自立感は外部より内部で決まる。
- 経済的不安
- 将来不安
- 人口減少不安
が強いと、
軍事的象徴に依存しやすい。
国内の安定は、
過剰な外部強硬化を防ぐ。
自立感は「安心」の副産物でもある。
Ⅶ.方法5:戦略的透明性
核を持たないが、
- 高度な通常戦力
- 反撃能力
- 危機対応能力
を整備する。
透明であれば、
周辺国の恐怖を過度に刺激しにくい。
恐怖を増やさずに抑止力を持つ。
Ⅷ.情動的帰結
核保有による自立感は:
- 即効性がある
- しかし対外不安を増幅する
核非保有での自立感は:
- 構築に時間がかかる
- しかし国際承認と両立しやすい
日本の場合、
急激なアイデンティティ転換よりも、
段階的な主体性強化
の方が情動的摩擦が小さい。
Ⅸ.核心命題
自立とは「孤立」ではない。
自立とは:
依存関係を自覚し、選び、調整できる能力
である。
核はその一手段に過ぎない。
