📘 第2章 進んで受け入れることと受容を発達させる
苦しみがあなたのドアを叩き、あなたがその人のための椅子はないと言うとき、彼は心配しないで、自分のための腰掛けを持ってきた、とあなたに告げる。
—Chinua Achebe
進んで受け入れること（Willingness）と受容（Acceptance）の主なターゲット:
- クライアントが、内的な体験に適用される過度なコントロールというアジェンダを手放せるよう支援する。
- クライアントが、体験を進んで受け入れることを、体験のコントロールに代わるものとして見られるよう支援する。
- クライアントが、進んで受け入れることを欲望ではなく選択として認識できるよう支援する。
- クライアントが、進んで受け入れることを、結果としてたどり着くものではなく、継続的に積極的に関わる柔軟なプロセスとして理解できるよう支援する。
人間の苦痛は避けられないものであり、それを否定することから、多くの葛藤と苦しみが生まれます。恐れ、不安、悲しみ、絶望などの感情、または自己を価値のないものと考える気持ちを感じるとき、私たちはしばしば、それらの体験を打ち消そうと努めます。私たちは、他の選択肢があるかどうかにかかわらず、体験のコントロールというアジェンダを選び取り、それに着手します。
内的な体験との戦いが始まります。残念ながら、私たちは大部分が自分の歴史の産物であり、それを単純に排除したり、それに含まれる内容を排除したりすることはできないため、体験のコントロールというアジェンダはほとんど効果がなく、多くの場合、裏目に出てしまい、自分自身との成功しない格闘に閉じ込められてしまいます。さらに、体験の回避はしばしば自己増幅的なループを作り出し、さらなる苦しみにつながります。その結果、実りのない努力や、実現不可能な目的に向けられた自己破壊的な行動に、何年もの人生が費やされる可能性があります。
この体験の回避の傾向は、人間であることの基本的な一部であり、言語から生まれ、文化によって増幅されます。私たちは皆、多かれ少なかれ、痛みを伴う体験をコントロールしようとし、時には痛みを伴う出来事を避けるために懸命に努力します。しかし、痛みもまた人間の状態の基本的な一部であるため、喪失、満たされない欲求、その他同様の状況に遭遇したときに引き起こされる体験から逃れるための、長続きする、または実行可能な方法はありません。コントロールの方法は短期的には機能することもありますが、長期的には苦しみを増大させるという逆説的な効果を持つ傾向があります。苦しみの増幅は、言語の基本的な特性（例：不快な記憶について考えないようにしようとすると、その記憶が呼び起こされる）と、固く信じている価値観から外れた生き方から生じる喪失と痛み（例：他者とのつながりを望む社会不安のある人が、不安や羞恥心を感じることを恐れて人々を避ける）の両方を通じて起こり得ます。
ACTは特に、誤って適用されたコントロール、つまり健全な方法では取り除くことのできない体験を軽減したり排除したりすることを目的としたコントロールを手放すことをターゲットとしています。非効果的なコントロールの努力に関わることによる苦しみの増大に対する解毒剤として、ACTは、クライアントが望まない体験に接触することを助け、その体験をあるがままのものとすることに、過度または硬直した努力なしに行えるように助ける代替手段を提供します。この代替手段が**進んで受け入れること（Willingness）**です。
進んで受け入れること（Willingness）とは何か？
「進んで受け入れること」は、自分の体験の全体に心を開きながら、同時に価値ある人生の方向へ積極的に、意図的に進むことを選択することとして定義できます。進んで受け入れることの発達は、現在この瞬間に、そこにある内的な体験が何であれ、あるがままに接触するプロセスと、同時に価値に基づいた意図によって導かれる行動をとることによって起こります。これは、柔軟性の3つの柱の1つであるオープンネスの基礎です。体験を進んで受け入れることが、オープンネスの種です。進んで受け入れることの反対、つまり内的な体験の過度で誤って適用されたコントロールは、このプロセスでクライアントと取り組む際に私たちが探求していることでもあります。人々が進んで受け入れないとき、彼らは個人的な価値観ではなく、内的な体験を避けたいという欲望に基づいて選択をする可能性があります。
進んで受け入れることは行動であり、全か無かという性質を持っています。それは**跳躍（leap）に似ています。行動が跳躍であるためには、一瞬完全に空中にいて、地面に触れている部分がなく、重力にその役割を果たさせる必要があります。跳躍は、それぞれの動きがコントロールされている一歩（step）**とは異なる性質を持っています。一歩は大きな一歩であっても、それでも一歩であり、一歩は私たちをそれほど遠くまで連れて行くことはできません。私たちは椅子からの一歩は踏めますが、屋根からは踏めません。逆に、跳躍は小さくても、上限はありません。椅子からの跳躍に含まれる動きは、屋根からの跳躍に含まれる動きと同一です。私たちは、進んで受け入れているかいないかと同じように、空中にいるかいないかのどちらかです。
耐性（tolerance）を持つことは、進んで受け入れることに一歩近づくかもしれませんが、耐性は、何かもっと良いことが現れるまで、ネガティブな体験に耐え忍ぶことを意味します。私たちは、その体験を征服するかのように、強く望まない感情を「歯を食いしばって」乗り切るかもしれません。これはまだ一歩を踏むという性質を持っています。一方、進んで受け入れることには、オープンネス、許可、そして感じられること、感知されること、観察されることの何であれ、それと共に現在にあることの性質があります。進んで受け入れることは、私たちが十分に耐えれば何かが良くなるのを待つのではなく、進行中のプロセスとして経験されます。したがって、体験を進んで受け入れることは、何度も何度も取ることができるスタンスであり、私たちが自分の体験をどのように引き受けるかに関する生涯にわたる一連の選択です。
人々がポジティブな感情を避けたり逃れようとすることもあることも注目に値します。例えば、人々は、そうすることが以前に痛みを伴う体験につながったために、自分自身がリラックスすることを許さないように学んだかもしれません。あるいは、喜びを体験したり表現したりすることを許さないかもしれません。なぜなら、それが以前に、彼らを不快にさせる他者からの注目につながったからです。したがって、ポジティブな感情とその表現を避けたりコントロールしたりすることも、苦しみを増大させたり、対人関係を損なったりする点で問題を引き起こす可能性があります（例：Gable, Reis, Impett, & Asher, 2004）。さらに、ポジティブな感情を避けることは、コミットメントのある行動を維持することを妨げるかもしれません。なぜなら、それは、人々が自分の価値観に沿った方法で生活するときに存在するかもしれない、他の強化の源を見逃すことにつながる可能性があるからです。
クライアントはしばしば、進んで受け入れることを感情や考え方と混同します。しかし、人々は、進んで受け入れるために、進んで受け入れていると感じる必要も、特定の考え方をする必要もありません。進んで受け入れることは、欲求（wanting）についてもではありません。人々は、何かを感じたり考えたりすることを望む必要は、それらを進んで受け入れるためにありません。問題は、もしそれが彼らの人生に新しい可能性を生み出すことを意味するならば、彼らがこれらの感情や思考を完全に、防御なしに体験することをいとわないかどうかです。
進んで受け入れることは、本質的に能動的なプロセスであり、自分の価値観に奉仕する行動をとるときに生じる思考、感情、感覚に気づき、オープンであり続けることから生じます。これには、あらゆる形態のコミットメントのある行動が含まれます。それは、疎遠になった友人に電話をかけること、恐れたり望まなかったりするときに愛する人と会話をすること、何かを主張したいという気持ちにもかかわらず防御を下ろすこと、または怖いと感じても「愛している」と言うことを伴うかもしれません。
この本では、「受容（acceptance）」と「進んで受け入れること（willingness）」という用語を** interchangeable（交換可能）に使用します。残念ながら、「受容」という用語は、文脈によっては多くの文化的な負の遺産を伴う可能性があり、一部のクライアント、特に何かを受け入れなければならないという説教をされてきたクライアントにとっては、あまり有用でないかもしれません。受容と進んで受け入れることは、喪失、諦め、または禁欲主義ではありません。しかし、一部の人にとって、「受容」は諦めのように聞こえ、実際、私たちの文化がそのように定義することもあります。同様に、痛みの存在下での喪失と諦めは、降伏またはそれに屈服することと見なされる可能性があり、禁欲主義は感情へのある種の無関心と見なされるかもしれません。これらはいずれも、ACTで私たちが話している種類の受容ではありません（Hayes et al., 2012）。クライアントが「受容」という用語にこれらのいずれかの方法で反応する場合、「進んで受け入れること」という用語を使用する方が良いです。実際、セラピストは、クライアントがこれらの用語または他の用語に関連付ける可能性のある否定的な意味合いに注意を払うことが有用です。私たちは、主に人生を肯定し、力を与え、活気づけ、オープンネス、気づき、関与**という柔軟性の3つの柱をサポートする意味合いを持つ用語を使用したいと考えています。
ACTが意味する「受容」のより完全な理解は、この言葉の歴史的な起源によって明らかにすることができます。「受容（Acceptance）」は、「提供されたものを受け取る、または受け入れる」という意味のラテン語にさかのぼることができます。これは、人生が提供するものを受け入れ、保持し、または受け取るという行為、そして喜んでそうすることを意味します。受容は究極的には、あるがままのものと人生が提供するものを抱きしめる選択であり、人生とその体験の多様性にイエスと言うことです。
クライアントに焦点を移す前に、進んで受け入れることはセラピストにも適用されることを強調したいと思います。ACTのような体験的療法を学ぶプロセスを、セラピストが不安を煽るものだと感じることがよくあります。時には、そうすることが自己不信や自己批判のレベルを高めるかもしれません。これは、新しいことを学ぶとき、そしてACTのように体験的で非線形の学習を強調する療法ではさらに自然なことです。私たちは、あなたがこの本の体験的な学習プロセスに関与することにオープンであると同時に、そうする際にあなたが抱くあらゆる反応のための部屋を作り、そこから学ぶことを願っています。
なぜ進んで受け入れることと受容なのか？
進んで受け入れることはACTの基礎であり、その主要な機能的目標の1つです。進んで受け入れること、または受容は、説明が利益をもたらすことを期待してクライアントに説明するだけではいけません（つまり、クライアントは説明に基づいてより受容的または進んで受け入れるようになる）。これらは学ぶべきスキルであり、理解すべき概念ではありません。ACTでは、セラピストは、クライアントを、困難な思考、感情、感覚などを体験することを選択する可能性を生み出すように構成された特定の活動に関与させることによって、受容という行動を構築しようとします。
不快で、望まない、困難な内的な体験をコントロールし管理するための硬直した誤って適用された試みは、少なくとも2つの方法で人々に代償を払わせる可能性があります。1つは、人々が苦痛な感情、思考、感覚、記憶を軽減または排除しようとする試みとして行うことが、しばしば失敗し、逆説的に、さらに多くの苦痛を生み出す可能性があることです。あるがままの痛みを持たないようにする努力によって引き起こされる痛みと葛藤（時には「苦しみ（suffering）」と呼ばれる）は、人生を生きることの自然で自動的な結果である痛みに追加されます。実際、いくつかの研究では、厄介な思考や感情を抑制しようとする試みは、リバウンド効果をもたらし、その結果、感情や思考がさらに顕著になる傾向があることが示されています（Hayes et al., 1996; Abramowitz, Tolin, & Street, 2001）。悪い記憶について考えないようにする努力は、しばしば同じ記憶を引き出す傾向があります（例：PTSDの場合; Shipherd & Beck, 2005）。同様に、人生の無意味さの認識から逃れるために一日中ベッドにいるうつ病の人々は、人生の無意味さについての彼らの恐れをさらに確証するだけです。そして、パニックは、少なくとも部分的には、パニックを持たないようにする葛藤の結果であることがよくあります。体験の回避の逆説的な効果のさらに多くの例は、他のACTのテキスト（Eifert & Forsyth, 2005; Hayes et al., 2012）や文献のレビュー（Abramowitz et al., 2001）で提供されています。
もう1つの考慮事項は、一般的に気分が良いことを追求して人生を送ることは、深く抱かれた価値観に奉仕して生きることではないということです。重要なこと、または大切なことをすることは、時には苦痛であるか、少なくとも脆弱性の感覚を生み出す可能性があります。それはまさに、気にかけることが、私たちが傷つけられる可能性のある場所、そして傷つけられてきた場所を明らかにするからです。痛みと価値観とのこのつながりが、体験の回避のコストが非常に高い理由の一部です。それは、特定の内的な体験を調整、コントロール、または回避するために、人々が価値ある方向性、関係、または活動から背を向けることにつながる可能性があります。
以前の例に戻ると、社会不安のある人は、羞恥心を避けたいという欲望のために友人がほとんどいないかもしれませんが、その羞恥心こそが、他者がその人にとっていかに重要であるかを示す兆候である可能性があります。同様に、慢性的で持続的な体験の回避に関わる人々は、感じないことに夢中になりすぎて、人生で何を望んでいるのかという感覚を決して発達させないかもしれません。結局のところ、気分が良いことの追求に費やされた人生は、あまり良い気分ではないかもしれません。
進んで受け入れること（Willingness）と脱フュージョン（Defusion）のつながり
進んで受け入れることは、認知的な脱フュージョン（第3章を参照）と密接に関連しており、このつながりの詳細な議論がここで必要であると思われます。私たち人間は、言語と文字通りにフュージョン（融合）する傾向があるため、言葉で概念化する世界と直接体験する世界とを区別できないことがよくあります。世界は、私たちが知覚するとおりに単に起こっているように見えます。私たちは、これが実際には直接的な体験と思考のブレンドの結果であることに、常に気づいているわけではありません。私たちはフュージョンしています—私たちの心と絡み合っています。このような状況下では、心の言語的な内容が行動を支配し、直接的な体験の偶発性が失われます。
例えば、フュージョンがあると、「この感情にこれ以上耐えられない」と言うクライアントは、その感情の体験が続くと、自分が崩壊する、存在しなくなる、または傷つけられるという考えを保持しています。しかし、脱フュージョン、つまり心が提示する文字通りの意味からの解放があれば、その同じクライアントは自分の直接的な体験に注意を向けることができます。彼はさらに一瞬、その感情に耐えることができ、そして耐えるでしょう。そして、彼は存在しなくならないことも体験するでしょう。さらに、彼の現在この瞬間の体験の継続的な流れに注意を向けることで、彼はこの感情が過ぎ去り、別の感情が何度も何度もやってくることを学ぶでしょう。
この章に関連するフュージョンの主要な問題の1つは、ネガティブな思考や感情は障害があり問題であり、減少または除去されるべきであるという、文化的に支持されたメッセージや、全体性と幸福は主に気分が良いことによって定義され、私たちはそのように感じるために必要なことをすべきであるというメッセージとフュージョンしてしまうことです。bell hooksはこれをよく捉えています。「私たちの文化の日常生活の中で構築されている強大な幻想の1つは、すべての痛みは価値の否定であるということ、そして本当に選ばれた人々、本当に価値のある人々は、最も痛みから解放されている人々であるということです」（1992年、52頁）。人々がこれらの文化的メッセージを完全に受け入れると、彼らは幸福を達成するために、ネガティブな思考や感情を軽減または排除することを目的としたメッセージと一致する行動に従事し始めます。そして、人々がネガティブな思考、感情、感覚を障害があり解決すべき問題と見なすとき、彼らは論理的な問題解決プロセスに従事する傾向があります。つまり、それを取り除く方法を見つけ出し、次に取り除くということです。彼らは計画を立て、理解しようとし、解決策を見つけようとし、解決し、答え、解き明かし、解読し、説明しようとするかもしれず、望まない体験とは異なるものを感じ、考え、感知できるようにすることを目的とした多くの行動に多大な時間を費やすかもしれません。
これらの努力は理にかなっているように見えます。論理的に見えます。私たち人間は、問題は解決するためにあることを学んでおり、実際、皮膚の外側の世界では、問題解決は優れた戦略です：部屋の配置が気に入らなければ、配置し直します。流し台の汚れた皿が気に入らなければ、洗って片付けます。長い髪が気に入らなければ、散髪します。問題を修正する方法を見つけ出し、次いでそれを修正します。しかし、この戦略が内的な体験、つまり皮膚の内側の世界に適用されると、それらを修正しようとするまさにその努力が、実際に私たちが排除しようとしている体験を維持し、さらには増加させる可能性があります。それにもかかわらず、私たちはまだこの戦略に従事します：不安を望まない、または気に入らなければ、それを取り除く方法を見つけ出し、次に取り除きます。悲しみ、失望、思考、記憶、または感覚が気に入らなければ、それらを取り除く方法を見つけ出し、次に取り除きます。しかし、皮膚の内側の世界は外側の世界と同じように機能しないため、内的な体験を軽減し排除しようとする試みは、実際にはこれらの体験を長引かせ、成長させる可能性があります。典型的な例は、不安を望まないこと自体が、不安を感じるべきことであるということです。したがって、「問題」は成長します。そして、私たちの論理的な問題解決の心が非常に深く関わっているため、私たちは、問題を修正することを目的としたより多くの戦略が必要であると結論付けます。より多くのコントロールが必要なのです。
したがって、受容の主要な焦点は、この戦略の実行可能性を検討することによって、過度な内的なコントロールの戦略を弱体化させることです。焦点は、クライアントのこの戦略に関する体験であり、論理ではありません。なぜなら、論理は、クライアントに感情、思考、感覚をコントロールできるはずだと伝える自己永続的なシステムの一部だからです。
どの行動がこのプロセスに取り組むきっかけとなるべきか？
セッションで進んで受け入れるプロセスに関与するための最も明確な合図は、体験の回避です。クライアントが、セッションで触れられた困難な内容をコントロールしたり逃れようとする努力をするとき、進んで受け入れることの作業が役立ちます。とはいえ、臨床医は無計画に進んで受け入れることの演習に飛び込むべきではありません。セッションの流れを持ち、クライアントのニーズを満たすために適切に進んで受け入れるプロセスと演習を取り入れていくことが重要です。
体験の回避を認識することは、時には難しく、時には簡単です。クライアントが内的な出来事をコントロールしようとしていることを示す方法は数多くあります。彼らは話題を変える、表面的なものになる、冗談を言う、問題が存在することを否定する、目をそらす、怒る、非常に口数多くなる、または自分の感情と矛盾するように見える言葉を使うかもしれません。これらの行動が困難な話題や体験が出てきたときに起こる場合、それらはおそらく回避行動です。セッション内での回避の他の兆候には、隠れる、戦う、または逃げることを示す身体的な姿勢が含まれます。例えば、硬直する、顎や拳を固くする、そわそわする、または目をそらしたり下を向いたりするなどです。さらに他の合図には、無行動、過度な計画と反芻、口論好き、やる気のなさ、またはクライアントの側の受動性、つまりクライアントが責任をセラピストに渡そうとしている感覚が含まれます。ポジティブな体験が終焉を迎えることへの恐れなしに、クライアントがそれを味わうことが難しい場合にも、回避が問題となっている可能性があります。これらは、回避行動の多くの現れのごく一部にすぎません。行動が何であれ、進んで受け入れることの作業に取り組むきっかけとなるものを認識するための鍵は、その行動の機能です。それは、柔軟性のない方法で、望まない内的な体験を回避または逃れるために機能しているかどうかです。
臨床医の反応もまた、セッションで体験の回避が存在するかどうかを判断するための効果的な指針となり得ます。セラピストが退屈を感じたり、イライラを感じてクライアントに何かをするように促す衝動を感じたりする場合、クライアントの回避が問題である可能性があります。もう1つの可能性のある合図は、セラピストがクライアントと議論したいという感覚を持ったり、クライアントを納得させる必要を感じたりする場合です。時には、セラピストは後になってから回避を検出することもあり、「どうしてこの話題になったのだろう？」と突然考え、クライアントが以前により困難な話題からそらしていたことに気づくかもしれません。
臨床医もセッションで感情の回避に従事します。彼らは、潜在的に敏感な話題について話すことを避けたり、クライアントを怖がらせたり傷つけたりすることを恐れたりすることがあります。このような体験に注意を払うことが重要です。それらもまた、クライアントのためだけでなく、臨床医自身のためにも、進んで受け入れることの作業に取り組むきっかけとなるべきです。
その方法とは？
受容を発達させるプロセスは、通常、2つの主要な焦点を含みます。1つは、自己と世界と関わるための支配的な方法としての体験のコントロールを弱体化させることによって、進んで受け入れることへの最初のオープンネスを作り出すことです。もう1つは、構造化された練習とコミットメントのある行動を通じて、進んで受け入れることを積極的に発達させ、選択することです。これら両方のステップは、心理的な柔軟性、つまり、意識的な人間として現在この瞬間に、より完全に接触し、次いで価値ある目的に奉仕するために行動を変えるか持続させる能力を育むことを目的としています。この文脈への意識的な感受性が選択の余地を生み出します。進んで受け入れることへの最初の開口部を作り出すことが、ACTがしばしば始まるところであり、多くの場合、これらの最初のステップはアセスメントのプロセスに統合されます。
進んで受け入れることへの開口部を作り出す
体験の回避とコントロールの努力は、意識せずに起こるほどよく練習されている可能性があります。多くの人にとって、内的な体験を管理しコントロールすることは選択として見なされていません。むしろ、彼らはそれを**「そういうものだ」と見ています。進んで受け入れるというスタンスを取り、不安を感じ、痛みと共に座り、悲しみの中に休み、恐れを抱きしめ、不確実性の中にリラックスすることを選択できるかもしれないという考えは、非常に異常で斬新であり、一部の人々は、息をせずに生きることを提案されているように感じるかもしれません。特に、体験の回避の遍在的で慢性的な歴史を持つクライアントにとっては、進んで受け入れること、受容、そして思いやりが育つためのスペースを確保する**ために、相当な作業が必要です。
このプロセスは3つのステップに分けることができます：
- 体験の回避の気づきを構築する。 これは、クライアントが暗黙のうちに作動しているコントロールのシステムを引き出すことを伴います。
- コントロールの実行可能性を検討する。 コントロールのアジェンダの有効性は、長期的なタイムラインと、それが実際に長期的にクライアントの苦しみを軽減したかどうか、そしてクライアントの価値ある人生の目標という点でどのように機能してきたかに関して評価されます。
- その体験をメタファーで捉える。 通常、この遍在的でしばしば自動的な、コントロールを解決策として頼る傾向を指す略式の方法を提供するためにメタファーが使用されます。これらのメタファーは通常、多大な努力を費やしたにもかかわらず、ほとんど見返りがなかった、あるいは逆説的な効果さえあった状況を呼び起こします。
