次元モデル(Dimensional Model)が前提とする主要な点

次元モデル(Dimensional Model)は、精神病理学の概念化において、カテゴリーモデルとは対照的な基本的な前提を置いています。

次元モデルが前提とする主要な点は以下の通りです。

  1. 連続体の存在: 正常性(健康)と異常性(病理)、および効果的な心理的機能と非効果的な心理的機能は、連続体(continuum)上にあるということを前提とします。
  2. 程度の問題: いわゆる精神障害は、正常な心理現象や日常生活における問題の極端なバリエーションに過ぎないと見なされます。
  3. 区分は恣意的かつ人工的: 正常と異常、あるいは適応と不適応という連続体に沿って設けられる区分は、恣意的かつ人工的であると見なされます。
  4. 不連続性の否定: このモデルは、現象の「タイプ」や人々の「タイプ」の間に真の不連続性があることを示すものではない、ということを前提としています。
  5. 目的は分類ではない: 次元モデルは、人々や障害を分類することに関心があるのではなく、感情、気分、知能、個人の行動スタイルなどの心理現象における個人差を特定し、測定することに関心があります。
  6. 境界線の構築: 次元モデルに内在するのは、正常と異常の区別は「発見」できる自然な境界線ではないという仮定です。その代わりに、これらの区別は、歴史的な蓄積と実際的な必要性によって創造または構築されたものと見なされます。

この考え方は新しいものではなく、1860年には既にヘンリー・モーズレイが、「正気と狂気の間に境界線はない。その違いは、程度の問題に過ぎない」とコメントしています。

例えば、知能の標準化されたテストにおける差異と同様に、関心のある次元における個人の大きな差異が予想されますが、正常性や異常性の区分は、便宜上あるいは効率性のために境界線を引くことができるかもしれません。

カテゴリー的アプローチが「特定の異常性や『障害』を持っているか、持っていないかのどちらかである」と区別しようとするのに対し、次元的アプローチは、すべての心理現象が連続したスペクトル上にあるという前提に立っています。

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