学会発表スライド
日本的精神療法における支持性・都市・制度・時間感覚
――回復を「速めない」臨床の倫理
0.表紙
タイトル
- 日本的精神療法における支持性・都市・制度・時間感覚
- ――回復を「速めない」臨床の倫理
副題
- 統合失調症臨床からの教育的考察
発表者/所属
1.問題提起:なぜ今「支持的であること」を問うのか
スライド内容
- 統合失調症臨床における慢性的困難
- 「治療しているのに良くならない」という違和感
- 技法やエビデンスだけでは説明できない部分
話すポイント
- 問題は「治療不足」ではない可能性
- そもそも「回復とは何か」という問い
2.本発表の視点と構成
スライド内容
- 個人の病理ではなく「環境と時間」から考える
- 3つの視点
- 支持的であることの倫理
- 都市と制度
- 時間感覚
話すポイント
- 医療モデルの否定ではない
- 視野を拡張する試みであることを強調
3.第Ⅰ部:日本的精神療法の暗黙知
スライド内容
- 日本の臨床で「当たり前」に行われていること
- 急がない
- 解釈を控える
- 関係を切らない
話すポイント
- これらは理論化されにくい
- しかし臨床的には極めて重要
4.第Ⅱ部:支持的精神療法の再定義
スライド内容
- 支持的=「何もしない」ではない
- 支持的=「壊さない・奪わない」介入
キーワード
- 防衛の尊重
- 現実検討の保持
- 関係の持続
話すポイント
- 支持的療法の倫理的側面
5.第Ⅲ部:「社会復帰」を言わないという実践
スライド内容
- 「社会復帰」という言葉が持つ圧力
- ゴール設定が症状を悪化させる場合
話すポイント
- 回復を語らないことが回復を支える逆説
- 日本臨床の特徴的配慮
6.第Ⅳ部:支持的であることの倫理と責任
スライド内容
- 支持的であることは「楽」ではない
- 責任を引き受ける態度
倫理的緊張
- 放置との違い
- 無責任との境界
話すポイント
- 支持的であることは高度な専門性
7.第Ⅴ部①:都市という治療環境
スライド内容
- 都市の特徴
- 匿名性
- 流動性
- 適度な距離
話すポイント
- 都市はストレス源であると同時に保護因子
- 見られすぎないことの治療性
8.第Ⅴ部②:制度が生む「時間の余白」
スライド内容
- 制度の持つ両義性
- 管理/拘束
- 猶予/遅延
具体例(抽象化)
- デイケア
- 外来通院
- 福祉制度
話すポイント
- 非効率さが回復を支えること
9.第Ⅴ部③:時間感覚のズレとしての回復
スライド内容
- 病理ではなく「時間の問題」
- 社会の時間 vs 個人の時間
話すポイント
- 回復は直線的ではない
- 速さを揃えない支援の重要性
10.結語①:回復を「速めない」という提言
スライド内容
- 回復を加速させない
- 成果指標に回収しない
話すポイント
- 回復を急がせないことは倫理的選択
- 消極性ではなく積極的判断
11.結語②:「何もしない支援」を守る制度設計
スライド内容
- 介入しすぎない支援
- ゴールを定めない場
話すポイント
- 制度が余白を奪っていないか
- 支援が「仕事化」しすぎていないか
12.結語③:専門家の役割の転換
スライド内容
- 導く専門家 → 待つ専門家
- 解釈する人 → 時間を共にする人
話すポイント
- 態度の専門性
- 沈黙と不確実性に耐える力
13.まとめ:日本的精神療法の潜在的強み
スライド内容
- 慢性化と見なされてきたものの再評価
- 都市・制度・時間の再解釈
話すポイント
- 否定されてきた実践の言語化
- 教育として伝える意義
14.終わりに:回復とは何か(問いとして)
スライド内容
- 回復は「到達点」か?
- それとも「許される時間」か?
締めの一文(読み上げ用)
回復とは、よくなることではなく、
よくならなくても生きてよい時間を
社会が引き受けられるかという問いである。
