2026年の政治状況において、18歳から30歳の若年層が圧倒的に自民党を支持

2026年の政治状況において、18歳から30歳の若年層が圧倒的に自民党(特に高市政権のような強いリーダーシップを掲げる政権)を支持する現象は、一見すると「将来の増税や徴兵のリスク」を抱える世代として矛盾しているように見えます。

しかし、この現象には極めて論理的、かつ切実な背景があります。なぜ彼らが「現状維持の象徴」である自民党を選ぶのか、その深層心理を分析します。


1. 「野党への不信」と「政治的リアリズム」

若年層にとって、2009年の民主党政権交代とその後の混乱は、幼少期の記憶、あるいは教科書の中の「失敗例」として刻まれています。彼らにとって野党は「理想ばかりを語り、現実を動かせない批判集団」と映ります。

  • 「踏み絵」を批判的に見る眼: 今回、立憲民主党が公明党と組むために安保法制や原発政策を転換したことを、中高年層は「苦渋の選択」と見ますが、デジタルネイティブの若者は「一貫性のない権力争い」「嘘をついている」と冷淡に捉えます。
  • 「マシな選択」としての自民党: 彼らにとって自民党支持は、熱狂的な支持というよりは、「消去法による最適解」です。「壊滅的な失敗をしないであろう組織」を選ぶという、リスク回避的な投票行動です。

2. 雇用と経済:生存戦略としての支持

18-30歳の世代にとって、最も切実なのは「今日の生活」と「就職」です。

  • 「自民党=就職が良い」という刷り込み: 安倍政権以降、有効求人倍率が高止まりし、売り手市場が続いたことを、若年層は「自民党の実績」として評価しています。
  • 軍事費増大への無関心: 30兆円という数字のリアリティよりも、目の前の「給与」や「デジタル化の推進」に惹かれます。高市政権が掲げる「強い経済」や「先端技術投資」は、彼らにとって自分たちのスキルが活かせる場を作る公約に見えるのです。

3. 「対米従属」への感覚の差

「GHQ以来の統治構造」や「植民地性」という視点は、若年層にはほとんど共有されていません。

  • アメリカは「所与の条件」: 彼らにとって、アメリカは「支配者」ではなく、iPhone、Netflix、Google、そして安全保障を提供する「インフラ」のような存在です。そこに反発するよりも、その構造の中でいかに賢く立ち回るか、という発想が主流です。
  • 「屈辱」よりも「安心」: アメリカの要請で軍事費を増やすことも、「中国や北朝鮮のリスクがある以上、当然のコスト」とドライに割り切ります。歴史的経緯によるナショナリズムの傷みよりも、実利的な安全を優先します。

4. 高市氏の「強さ」とデジタル親和性

高市首相のような、明確な言葉で語り、敵味方をはっきりさせるスタイルは、SNS時代のコミュニケーションと非常に親和性が高いと言えます。

  • 曖昧さの拒絶: 若者は、リベラル勢力の「対話」や「多文化共生」といった曖昧な言葉よりも、高市氏の「日本を守る」「国益を最優先する」という短く強い言葉(パワーワード)を好みます。
  • 国旗損壊罪への支持: 若い世代の一部にとって、アイデンティティが不安定な現代において、「日本」というブランドを強く打ち出すことは、自己肯定感に繋がります。少子化が「国家への裏切り」であるというマクロな視点よりも、目の前の「日本を貶める者への処罰」という分かりやすい正義に惹かれる傾向があります。

5. 「少子化・人口崩壊」への諦念

軍事費を増やすことで少子化が進むという「パラドックス」について、若年層はそれを自分の責任とは感じていません。

  • 「子供は贅沢品」という前提: 彼らはすでに、経済的・社会的な理由で「結婚や出産は不可能、あるいは選択肢にない」と諦めている層が多い。そのため、少子化対策のために軍事費を削るという議論よりも、「どうせ国が沈むなら、せめて軍備を整えて他国に舐められないようにしてほしい」という、一種の終末論的な保守化が進んでいます。

結論:なぜ彼らは自民党を支持するのか

彼らにとっての自民党支持は、「沈みゆく船の中で、最も頑丈そうな部屋を選んでいる」状態に近いと言えます。

野党が「安保法制合憲・原発容認」という踏み絵を踏んでまで中道に寄ったとしても、若者から見ればそれは「自民党のコピー」に過ぎません。「コピーを買うくらいなら、本家(自民党)を買う」という論理です。

「軍事費30兆円と少子化のパラドックス」という論理的矛盾は、今の若年層には「遠すぎる未来の話」として届いていないのが現状です。彼らは「今、この瞬間の生存」を確保してくれる(と期待させる)強固な権力に、自分の未来を仮託してしまっているのです。

この層を野党が取り込むには、「踏み絵」を踏むような姑息な手段ではなく、「軍事費30兆円を投じることが、いかに君たちの30代・40代の生活を物理的に破壊するか」という、極めて個人的で切実なリアリティを提示する必要があるでしょう。

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