人間の社会で、一面では、暴力が最終解決になって来たし、いまでもそのような場面はある。
戦争という形で、紛争は続いている。
国家規模でなくても、集団と集団で、話し合いで解決できないとき、暴力になることがある。
個人でも、家庭内で、暴力はいまでも続いている。
表向きは、肯定するこことは、さすがに少なくなっただろうけれども、今でも、隠然と勢力を保っている。
男性の方が筋力が強く体力もあるので、女性に対しては暴力を背景として優位を保つことがある。男性同士でも、暴力の程度によって序列を決めることもあるだろう。しかしそれは現代的ではない。暴力が最終解決になった時代はもう昔のことだ。
暴力的装置は国家が管理している。法律、警察、刑務所、軍隊。
しかし、社会の新しい局面で、暴力の威力が露呈することがある。
例えば、ネット技術の進歩により、SNSが人々の間に浸透し、新しい形の「暴力」が振るわれる。
学校では陰湿ないじめが行われ、教員側は取り締まりを強化するが、陰に隠れるような形で、通信が行われる。あいつを無視しろと言う命令が、あるゲームの参加者のチャットで流される。教員はそこまで監視していなかったらしい。今後監視が行き届きくのかどうかわからないが、鼬ごっこのように続くのだろう。
監視の隙間を見つけて、いじめは続く。
ときどき死に至ることもあり報道されかけると、そこにまた隠ぺい工作が始まったりする。何重にも苦しい社会である。
子供の社会だけではない。大人の社会でも、法律の隙間を狙うような形で、いろいろな暴力的な行為が出現する。集団ストーカーとか、犬笛とか。選挙にあたっての切り抜き道が拡散とか、いろいろに報道されている。攻撃対象にならないように上手に身をかわしながら、事態が鎮静化したころに、法制度を整え、再発を防止すると考えているらしい。
現在進行している「一種の暴力」に対して、有効な手段はないらしい。法律がないといけないのだが、その法律がない。これから作らないといけない。
新しい技術と大衆の被害で言えば、オンライン・カジノなども大きな問題である。人間の心理的メカニズムを悪用して泥沼に「はめ込んでいく」のだから、よくない。しかし法律がなければ、どうしようもない。
また、法律は国家単位での運用になるので、ネット時代の犯罪の形を考えると、追いついていかない。それも大きな問題であるが、壁は大きいので、後回しになる。
借金を抱えた若者がゲームのチャットで知り合った人に勧誘されて東南アジアのアジトに隔離監禁されて、特殊詐欺の手先として働かされたとか、あり得ないような形の犯罪とその被害が明白にされている。
社会の認知と法整備はどうしても後回しにならざるを得ない。
仮面ライダーとショッカーのようなものだ。
ショッカーはいつでも、組織的に、継続的に、何かネタはないかと探し回って努力している。
一方で、仮面ライダーは受け身で、問題が起こったら駆けつけて、悪を粉砕する。しかしそれでは、ショッカーの根絶にはならない。そして、いつでも、最初の犠牲者は発生してしまう。どうしたことか、仮面ライダーは、ショッカー根絶を掲げて努力することはないのだ。何かあったら対応する。それだけだ。
しかし、そうした先回りの対策を野放図に許してしまうと、ショッカーの手先が、仮面ライダー軍団に潜入して、内部からの乗っ取りを画策する。ショッカーを全滅させるためと称して、世界制覇を実現してしまう。
だから、仮面ライダーは、世界警察を作り、世界軍を作ることはないのだ。そしてしっかーはいつでも存在し、いつでも法律の抜け穴を見つけ出し、新しい技術の盲点を探し出し、着々と組織的に持続的に活動を続ける。
困ったものだが、現実である。
仮面ライダーは、説得でも法律でもなく、直接暴力による解決である。これはやはり問題が多い。
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しかし、それで人命が失われ、あるいは、失われないまでも、大きな苦しみにあい、一方で、それをあざ笑い、あるいは死体を蹴る、そのような現実を社会はどのようにして受け入れられるのだろうか。とても受け入れられないではないか。