統合失調症の症状の理解

・統合失調症における理性の在り方については昔から議論がある。
・概略、「ロマン主義的に、別の理性の原理があると考えるもの」と、「現実に適応する理性としては方向は一つであるが、何かの事情で故障が生じたもの」とが、考えられていると思う。
・統合失調症で見られる症状と、太古から存在して、現在では否定的に考えられている思考形式が類似している。現在も観察される未開民族の思考様式が類似しているという考えはある。それはそれで理由がある思考様式なのだと思われる。それについて、別の原理と考えるか、発展途中の様式でありいずれ廃棄されるものと考えるか、考え方に違いはある。
・例えば、ユークリッド幾何学と、非ユークリッド幾何学があって、日常の現実世界を生きるには、ユークリッド幾何学が有用であり、三角形の内角の和は180度で問題ない。しかし非ユークリッド幾何学で、三角形の内角の和が200度などと言う世界も考えることができる。この世界の法則が突然変化したときには、それで適応的なので、そのような遺伝子も存在していたほうがよいだろうとの考えもある。
・脳が故障するとして、もっといろいろな故障があってもよいように思われるが、統合失調症タイプの故障が非常に多いのには何か理由があるのだろう。一つには、故障として把握されやすい部分だということ。一つには、現在の理解の仕方が大雑把すぎて、細かく理解されていない可能性。例えば、電話システムで言えば、末端とか中継基地とか電力とか、色々な場所での故障が考えられるが、「電話が通じない」という大雑把な症状しか理解していない可能性がある。
・統合失調症の症状の理解としては、統合失調症の病理から「直接に生じる症状」と、直接に生じた症状に対処するための「反応」があるはずで、そのあたりの理解も難しい。また、直接に生じる症状も、脳の仕組みとして、上位の故障があれば、その部分の欠落症状がみられ、さらに、その下位の部分の機能の過多や過少がみられるので、その部分の理解も必要である。
・近代化以前の世界では、統合失調症の人々はもっと生きやすかったかもしれないと思う部分はある。逆にもっと大変だっただろうと思う部分もあるけれども。

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