象軍

ブッダは出家後、マガダ国の王舎城に赴き、そこにビンビサーラ国王がやってきて、「象の群れを先頭とする軍隊」を与えることを申し出る。その「象軍」の解説で次のように述べている。

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 そこでアレキサンダーは一度引きあげます。しかし部下の将兵たちがそこに残っていた。そこへシリアの王さまのセレウコスという人がまた進入してきた。アレキサンダーは失敗したけれども、おれは全インドを征服してみせるとやってきたのです。そして象軍とやりあって、これは大変だというので仲直りをする。シリアの王さまはインダス河から西の方は、全部インドの王さまのチャンドラグプタにやってしまったのです。今日でいうと、パキスタンとアフガニスタンとイランのあたりまで、気前よくやってしまったのです。のみならず、自分の王女をチャンドラグプタの宮廷に送って、お妃にする。

 その代償に、講和条件としてシリアの王さまセレウコスが何を受け取ったかというと、何と象五百頭もらっただけだというのです。現代の感覚ではずいぶん損な取引のように感じられますが、これは当時では最強の武器なのですね。それで象五百頭を戦場に運んでエジプトで使ってみたら大勝利を博した。今度は西のほうにインパクトが及ぶわけです。それでハンニバルが第二ポエニ戦争の時に、アルプスを越えてローマになだれ込む、そのときに象軍を使っているのです。

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