以下に、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の視点から構成した
「巻き込まれる自分」と「見つめる自分」の気づき練習ワークシート集をご紹介します。
🌱 ACTワークシート集
「巻き込まれる自分」と「見つめる自分」を育てる気づきの練習帳
🔹ワークシート1:「思考」と「自分」を分けてみる
浮かんできた思考 | そのときの気分 | その思考を「声」や「ラベル」にして言い換えてみる |
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例:「私はだめな人間だ」 | 落ち込み、無力感 | 「“私はだめだ”という思考がまた出てきたな」 |
「これは“自分責めラジオ”の声だ」 |
✅ ポイント:思考や気分を、そのまま「事実」や「自分」だと決めつけずに、
「一つの声」「通りすぎる雲」のようにラベルづけして距離をとってみましょう。
🔹ワークシート2:「心の中の声」にキャラクターを与えてみる
よく登場するネガティブな声 | その声の特徴(口調、言い回し) | 名前・キャラ設定(例:「完璧主義おじさん」) |
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「もっとちゃんとやれ」 | 厳しく、冷たい、親の口調みたい | 「軍曹みたいな自分」 |
「うまくいかないに決まってる」 | 皮肉っぽい、笑いながら落とす | 「あきらめの魔法使い」 |
✅ ポイント:その“声”にユーモアや創造性を加えることで、
巻き込まれずに「観察する」姿勢が育ちます。
🔹ワークシート3:「今ここに戻る」感覚トレーニング
今この瞬間に感じているもの(五感を使って) |
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見えているもの(色、形、光) |
聞こえている音(近く・遠く) |
体に触れているもの(椅子、服、空気) |
におい、味 |
呼吸の感覚(空気の出入り、温度) |
✅ ポイント:「頭の中」ではなく「身体」や「環境」につながることで、
“巻き込まれた思考”から少し距離を取ることができます。
🔹ワークシート4:観察する自分と対話してみる
【ステップ1】最近、ぐるぐる考えていたことをひとつ書き出してみましょう。
→ 例:「将来どうなるのか不安」「仕事がうまくいかない」
【ステップ2】それを「観察する自分」として眺めると、どんなふうに見える?
→ 例:「不安に押しつぶされそうだけど、今ここにいる自分は静かで呼吸してる」
→ 「“未来の心配”に巻き込まれていた自分がいたんだな、と今ならわかる」
【ステップ3】「そのままの自分」を少しねぎらってみよう
→ 「よくやってるよ」「大変だったね」「ここに戻ってこれてえらい」
🔹ワークシート5:「巻き込まれる vs 見つめる」チェック表
場面 | 自分の反応(思考・感情・行動) | 巻き込まれていた?/見つめていた? | 気づいたこと |
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面接前に緊張した | 「うまく話せないかも」→無言になる | ✅巻き込まれていた | 深呼吸すれば少し話せたかも |
家族に怒られた | 「また私のせいだ」→泣いて部屋にこもる | ✅巻き込まれていた | 「責められた」と感じたけど、事実は違ったかも |
不安な夜に呼吸を意識した | 「不安だ」→でも呼吸に集中して5分過ごした | ✅見つめていた | 少し安心した、自分に戻れた感じ |
✅ ポイント:自分を責めずに、「どちらの自分だったか」に気づくことが大切です。
両方あってOK。その都度、観察する目を育てていきましょう。
📘 巻末コラム:あなたの中の「見つめる自分」はどんな存在ですか?
たとえばこんなふうに想像してみましょう:
- どんな声のトーン?(静か、穏やか、温かい?)
- どんな場所から見守っている?(空の上? 心の奥?)
- 困った時にそっと言ってくれる言葉は?(例:「大丈夫」「今ここに戻ってきて」)
この「見つめる自分」は、どんな時もあなたの中にいます。
あなたがどんなに苦しい時でも、それを知っていて、黙って見守っている存在です。