うつとフラッシュバック

うつ病・うつ状態については、気分の障害だと認識されている。

憂うつな気分とか興味関心の減退とか。意欲がわかないとか。

それはその通りだと思うのだが、
一方で、過去の一場面が突然フラッシュバックして、それがうつ気分とか苦々しい後悔の気分とかを引き起こしてしまうことがある。
しかも、それが単発で終わらず、連続して発生することがあり、
そうなると、うつ気分から逃れられないような無力な気分にもなる。

これはうつ場面連続想起と言ってよい状態だと思う。

フラッシュバックのきっかけは、あることもないこともある。
きっかけが思い当たる場合には、特に病的な関連ではなく、通常の常識的な範囲での関連のことが多いようだ。
だから、関連付けの妄想はないように思う。

人間の記憶の性質から言って、歪曲された記憶のこともある。しかし、それほど歪曲されていない範囲のものもあり、これも特に病的と考えるべきものではないように思う。

そのようなきっかけがあり、苦々しいことを思い出し、それに気分が引きずられる。
一旦そうなると、脳がうつ気分モードになってしまい、次のうつ場面がフラッシュバックしやすくなる。

人間の記憶は、「気分のタグ」をつけて整理されて格納されているような部分もある。
だから、いったんうつ気分になってしまうと、「うつ」のタグが付いた記憶が想起されやすくなっているのだと思う。
例えていえば、デパートで、駐車場からエレベーターに乗って、どの階で降りるかで世界が全然違う。食品売り場でエレベーターから降りれば、食品の世界である。
うつのときにはうつの階に降りてしまっているので、周りを見ても、うつの記憶ばかりである。

時には短期間に連続して発生することもあり、うつ場面連続想起になると、なかなかつらい。
フラッシュバックを防ぐ良い方法はなく、起こってしまったら、仕方がないので、割り切って、早く忘れるしかない。

うつのフラッシュバックが起こったときは、「ああ、自分は今、うつ状態なのだな、少しの間注意していよう」と思うことができる。

逆に躁のフラッシュバックもあると思うが、それはむしろ心地よいことであることも多いので、それはあまり苦痛ではないようだ。中には躁によってイライラしたり、他人に怒りを向けて対人関係を壊したり、つい買い物したり、つい性的関係を拡大しすぎたりなどもある。その場合には、「ああ、自分は今、躁状態なのだな、少しの間注意していよう」と思うことができる。

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