セルフの視点

セルフの視点について、ソースに基づきご説明します。

「セルフの視点」は、ポジティブ心理学における重要な実践目標である「自律性(autonomy)」と「レジリエンス(resilience)」の向上に不可欠な概念です。帆船のメタファーは、この「セルフ」に関するシンプルかつ多面的な視点を提供することを目的としています。

具体的には、このツールは以下の点からセルフの視点を提供します。

  • 包括的な理解:帆船のメタファーは、人間機能を「全体論的(holistic)な視点」から捉え、ウェルビーイングに影響を与える多くの要因(肯定的・否定的両方)を考慮します。このメタファーは、私たち自身と周囲の環境の多くの異なる側面が、日々の感情や行動にどのように影響するかについての理解を深めるよう設計されています。
  • 多面的な構成要素:セルフの視点とは、日々の行動や経験を決定する多くの要因を考慮に入れた、自己に対するバランスの取れた完全な視点のことです。これには、個人の強みと弱み、制御できる要因と制御できない要因、肯定的・否定的な社会的勢力などが含まれます。帆船のメタファーの8つの要素は、この多面的なセルフの理解を促します。
    • 水(Water):私たちの直接的な物理的現実、環境を表します。
    • 操舵輪(Steering Wheel):個人の価値観、人生をどう生きたいかを決定する方向性を表します。
    • 目的地(Destination):具体的な目標や願望を表します。
    • 浸水(Leak):弱み、価値ある生き方や目標達成を妨げる要因を表します。
    • 帆(Sails):個人の強み、価値ある生き方や目標達成を促進する要因を表します。
    • 羅針盤(Compass):内的な経験、感情、直感といった内的なフィードバックを表します。
    • 天気(Weather):人生における制御不能な状況を表します。
    • 他の船(Other Boats):私たちを取り巻く人々、ソーシャルネットワークを表します。
  • 自己認識の促進:クライアントが自分の船の要素について説明することで、実践者はクライアントの現実をよりよく把握できます。また、クライアントが各要素と自分自身のつながりを説明するよう促すことで、自己構築によるメタファーへのより深い結びつきが促進されます。
  • 自律性と責任の促進:自分自身が「自分の船の船長」であると認識し、それに応じて行動することを支援することが、支援専門家の最も重要な実践目標です。自分自身の行動や現実を変えることができるのは自分だけだと認識することで、クライアントは個人的な価値観に沿って行動し、自分自身の行動に責任を持つことができます。
  • 行動とバランスの重要性:ウェルビーイングを向上させるには、単に船のメタファーの異なる要素に気づくだけでは不十分です。この認識に加えて、行動を起こし、価値ある適応的な方向に舵を切る必要があります。また、ウェルビーイングの基本的な条件として、各要素にバランスの取れた注意を払うことが挙げられます。いずれかの要素に過度に集中しすぎると、ウェルビーイングにつながる可能性は低いです。
  • 継続的な関与と柔軟性:船のメタファーのすべての要素は継続的な注意を必要とします。価値観に沿った生き方は、常に継続的な注意を必要とする進行中のプロセスです。また、要素は非常に動的なものと見なされるべきであり、静的な状態を維持しようとするのではなく、状況に応じて方向性(価値観)や目的地(目標)をいつでも変更できる柔軟性が重要です。

要するに、帆船のメタファーは、私たち自身の多面的な側面を理解し、自己認識を深めることで、人生における自律性とレジリエンスを高めるための「セルフの視点」を育むツールであると言えます。

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