孤高な系列

加藤個人の視座から見た思想文学史の座標軸は加藤周一自身が「孤高な系列」と呼んだ複数
の人物像で連続させた軸である。これらの人物は上巻の万葉集の時代の例外の山上憶良から始
まり、下巻の工業化の時代の林達夫、石川淳、小林秀雄まで加藤周一が一貫した基準で人物評
価を徹底し、どんな時代にも動揺されない信念にも近いものを読者に見せている。この軸こそ
が加藤周一の思想の基本軸である。この軸を浮彫にするために、加藤は『日本文学史序説』において具体的な歴史人物と個別の
歴史事実で支えられた「土着世界観」という概念を持ち出した。この概念は丸山眞男が日本文
化に関する「古層論」で打ち出した「古層」と類似するものである。

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