コンサル業の話

約3年にわたった新型コロナウイルス禍はコンサルの商売に変化をもたらした。コンプライアンスやリスキリングなどの各種研修・セミナーは、昔からコンサルの収益源だったが、コロナ禍で集合・対面形式が難しくなって動画視聴タイプが広まった。一度の録画で済んでしまうので、うまみも減ったと見られる。

過当競争は中小コンサルの体力をそぐ一因だ。中小コンサルの創業者には大手コンサルから独立・起業した人が多い。コンサルは行政の許認可は必要ないため、事業会社から転じる「脱サラ組」もいる。経営のプロとしての資質を認定する、国の資格は中小企業診断士しかない。こうした参入障壁の低さゆえに、中小コンサル業界は競争が激しい。

人工知能(AI)はコンサル業界にとって最大級の脅威となりつつある。AIがビジネス現場に実装されるようになって、コンサル業界の景色は様変わりした。365日24時間ぶっ通しで働いてくれるAIは、労働集約的なコンサル業務を助ける半面で、「コンサル不要論」を呼び込む不安材料でもある。

経営者の相談相手になる、いわゆる「壁打ち」はコンサルの得意業務だったが、今では生成AIがこなすようになった。新規の事業・商品開発のアイデア提供は今もコンサルの主な収益源だが、これらの業務でも生成AIの活用が広がっている。資料集めやリポート作成は生成AIの得意分野であり、「生成AIはコンサル業務を侵食し始めた」。

生成AIが脅威となるのは、自分たちで処理できる業務が広がったのを受けて、クライアント側が「コンサルへの依頼はもう不要」と考え始めることだ。生成AIを利用するコストはゼロに近いが、成果もまずまずで所要時間は一瞬となれば、コンサルへの支払いがバカらしくなるのは無理もない。これからのコンサルは、生成AIには任せられない仕事をこなせるかどうかが生き残りの条件になりそうだ。

タイトルとURLをコピーしました