【AFP=時事】各国政府が急落する出生率の回復に苦慮する中、新たに発表された米国の研究が、重要な原因を見落としている可能性を指摘している。スマートフォンだ。
【写真】日本の合計特殊出生率は1.14、過去最低更新 日本人出生数も過去最少の67万人
「iPhone(アイフォーン)は避妊具なのか?」と題した論文が8日、全米経済研究所によって発表され、2007年以降、米国の出生率が22%減少した理由を掘り下げている。
しばらくの間、専門家たちはこの出生率低下の原因を、2008年に起きた世界金融危機に求めていた。金融システムが崩壊寸前に陥り、何百万人もの人々が経済的困窮に追い込まれたためだ。しかし、その後景気が回復しても、期待された出生数の回復は起こらなかった。
避妊の普及、女性の教育水準の向上、住宅費や育児費の増加など、さまざまな理由が挙げられているが、明確な原因は特定されていない。
そこで、ミドルベリー大学の経済学者ケイトリン・マイヤーズ氏と学生のエゼキエル・フーパー氏は、2007年に初代iPhoneが登場して以降、スマートフォンが何らかの影響を与えたのではないかという仮説を検証した。
2011年までは、iPhoneは米国では単一の携帯通信事業者AT&Tを通じてのみ販売されていた。そのため研究チームは、当時AT&Tの通信エリアがほぼ全面的にカバーされていた郡と、ほとんど、あるいは全くカバーされていなかった郡とを比較した。
その結果、iPhoneへのアクセスがある地域では、15~19歳の出生数が4.5~8.0%、20~24歳では3.2~6.6%減少していることが分かった。より高い年齢層の女性についても、規模は小さいものの統計的に有意な出生数の減少が確認された。
研究チームは、iPhoneが「唯一の原因」ではないと強調しつつも、2007年以降の米国の出生率低下において、スマートフォンの導入が「かなりの役割を果たした」と結論付けた。スマートフォンの普及により、人々の行動が変化し、対面での接触が減少したためだ。
「現代のスマートフォンが普及するにつれ、友人と直接会う時間や性的活動が急激に減少し、ポルノの消費が増加した。これはパートナーとの性行為の代替となり得る」と研究チームは指摘している。
一方で、一部の学者は懐疑的な見方を示している。例えば、米国の10代の出生率は1990年代初頭から低下しており、スマートフォンの登場よりもはるかに前から始まっている。
出生率の低下は、豊かな国でも貧しい国でも共通の課題となっており、高齢化社会や労働力の縮小を招き、社会保障制度に負担をかけ、経済成長や生産性を低下させる可能性がある。
