混合性大うつ病に抗精神病薬は有効か?

原文The efficacy and safety of pharmacological treatment for major depressive episode with mixed features specifier: a systematic review and meta-analysis
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この論文のポイント

混合性大うつ病に抗精神病薬は有効か?

 閾値未満の躁または軽躁症状を伴う大うつ病エピソードを呈する混合性うつ病はしばしば治療に難渋することがある。本論文は混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードに対する薬物療法についての最新の系統的レビューおよびメタ解析である。合計612例(平均年齢44.1歳、女性割合60.1%)を含む24件の研究が包括された。有効性の主要評価項目は、反応率(MADRSの総スコアが50%以上改善した患者の割合)およびYMRSスコアの変化であり、安全性の主要評価項目は、治療中の軽躁病/躁病の発現率だった。

 混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードの患者において、抗精神病薬投与群は躁転のリスクを高めることなく(RR 0.91、95%CI 0.53-1.55)、うつ症状に関する反応率(RR 1.46、95%CI 1.31~1.61、NNT=7)と躁症状評価スケールの点数(SMD:-0.35、95%CI-0.53~-0.17)を有意に改善した。一方で、抗精神病薬投与群は一般的な有害事象リスクの増加と有意に関連し(RR 2.33、95%CI 1.63~3.34、NNH=17)、特に、覚醒関連有害事象(RR 2.77)のリスクが高かった。

私の見解

抗精神病薬は抑うつと躁状態いずれも改善する

 抗精神病薬は混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードの患者の抑うつ症状および躁病症状の改善に有効であり、かつ、躁転のリスクを高めることはなかった。また安全性については、覚醒系の有害事象が増加したものの錐体外路症状との有意な関連はなかった(RR 2.26、P=0.06)。以上から、混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードの患者に対する抗精神病薬治療は有用な可能性が示唆された。

 混合性特徴を伴う大うつ病エピソードの患者に対するガイドラインとしては、米フロリダ州ベストプラクティス精神療法薬物ガイドライン(J Clin Psychiatry 2017; 78: 703-713)や混合型うつ病の認識と管理に関するガイドライン(CNS Spectr 2017; 22: 203-219)などがある。前者は混合性特徴を伴う大うつ病エピソード患者の初期治療として非定型抗精神病薬または気分安定薬を推奨しているが、後者は、より具体的に抗精神病薬(ルラシドン、ziprasidone、アリピプラゾール)を第一選択薬、気分安定薬(バルプロ酸、ラモトリギン、リチウム)を第二選択薬として推奨している。また、前者はbupropion、ボルチオキセチンおよびSSRIによる単剤治療を初期治療として推奨しているが、後者は抗うつ薬単剤療法に対して否定的な見解であるという違いがある。

 本研究では、トラゾドンが混合性特徴を伴う大うつ病エピソード患者に対して抑うつ症状および躁症状に対する有効だったと示されているが、対照群が設定されていない2件の後方視研究であるためエビデンスレベルは高くない。

日常臨床への生かし方

混合性大うつ病に対する具体的な治療提案

 本研究の結果をまとめると、混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードに対する薬物療法としては、これまでの主要なガイドラインの推奨と同様に、抗精神病薬による治療の有効性(うつ症状の反応率および躁症状評価スケールの点数の改善)がより期待できる可能性が示唆された。

 本論文内には混合性の特徴を伴う大うつ病エピソードに対する具体的な治療提案として、第一選択薬はルラシドン、ziprasdone、lumateperone、代替治療薬はアリピプラゾールの併用、SGA+MS(バルプロ酸)、SGA+抗うつ薬(トラゾドン)と記載されており、実際の治療場面で参考になるだろう。また、本研究にはDBRCTのほかにDBRCTのpost-hoc解析、症例シリーズ、観察研究が含まれている点に注意して解釈する必要がある。

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