血液細胞の起源 免疫細胞は複数系統

ヒトの血液には酸素を運ぶ赤血球や病原体を食べるマクロファージ、体を守る白血球など複数種類の細胞が存在する。しかし血液細胞がいつ誕生し、どのように多様化していったのかは詳しく分かっていなかった。

ヒトやマウス、魚、海綿動物など約20種類の動物の血液細胞の遺伝子発現を比較したところ、動物の血液細胞は共通の祖先から進化してきたことが分かった。また地球上に最初に出現した血液細胞はマクロファージ様の細胞だと推測できた。

次に動物の血液細胞を詳細に解析したところ「Fos」という遺伝子に共通項があることも分かった。この遺伝子の起源は7億年前の単細胞生物の祖先まで遡ることができた。

Fosは単細胞生物の細胞をバラバラの状態に維持する性質をもち、7億年前の単細胞生物がFos遺伝子と原始的な血液細胞のプログラムを獲得し、多細胞の動物へ進化すると同時に血液細胞が誕生したと推測できた。

その後、動物に感染する寄生虫が誕生すると、それに反応する原始的なマスト細胞が5億〜6億年前にマクロファージから分岐し、やがて免疫機能を担うT細胞やナチュラルキラー細胞などが生まれていった。

一方、マスト細胞に分岐しなかったマクロファージからはB細胞や樹状細胞が分岐していった。血液で免疫機能を担うT細胞とB細胞は別の系統で進化していることが分かった。

京大の長畑洋佑特定助教(研究当時)は「これまでT細胞とマスト細胞は関係がないとされてきたが、共通点を明らかにできた。血液や免疫の研究を新たな視点で進めることができる」と話す。

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