「神経病」と「神経症」は、似た言葉に見えますが、意味も対象もまったく異なる医学用語です。それぞれの違いをわかりやすく整理します。
🧠「神経病」= Neuropathy
✅ 身体の神経そのものの病気
- 末梢神経・中枢神経など、神経系の組織の構造的または機能的な異常による病気。
- 原因は糖尿病、ウイルス感染、自己免疫、毒素、ビタミン欠乏など。
- 主に手足のしびれ、痛み、運動障害などが出現。
🔹 代表疾患
疾名 | 説明 |
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糖尿病性ニューロパチー | 糖尿病による末梢神経の障害 |
ギラン・バレー症候群 | 急性の末梢神経障害(自己免疫性) |
末梢神経障害 | 外傷や薬剤による神経の損傷 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 運動ニューロンの変性(中枢神経の神経病) |
📌 キーワード
🧠「神経症」= Neurosis
✅ 心の働きの障害、精神の病
- 構造的な脳の異常はないが、情緒や思考、行動のコントロールに困難が生じる状態。
- 強い不安や抑うつ、恐怖、強迫などが中心で、現実検討力は保たれている。
🔹 代表疾患(DSM-5では「不安障害群」などに再分類)
疾名 | 説明 |
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社交不安障害 | 人前での振る舞いに強い恐怖を感じる |
強迫性障害(OCD) | 強迫観念と強迫行為が繰り返される |
パニック障害 | 急な強い不安発作が反復される |
PTSD | 外傷体験後のフラッシュバック・過覚醒など |
📌 キーワード
🔍 比較表
項目 | 神経病(Neuropathy) | 神経症(Neurosis) |
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分野 | 神経内科・整形外科 | 精神科・心療内科 |
原因 | 器質的(神経そのものの障害) | 心因的・心理社会的要因 |
症状 | 手足のしびれ、運動麻痺など | 不安、抑うつ、強迫など |
検査 | 神経伝導検査、MRIなどで異常あり | 通常、画像などには異常なし |
現実検討力 | 基本的に保たれる | 保たれる |
治療法 | 原因疾患の治療(薬物、理学療法) | 精神療法+薬物療法 |
📝 まとめ
- 「神経病」は身体の神経の病気(内科的)
- 「神経症」は心の機能の問題(精神的)
- 同じ「神経」という言葉を使っていても、身体 vs 心という大きな違いがあるため、混同に注意が必要です。